【NBA】デイミアン・リラードのクラッチシュートも実らず、バックスは泥沼の5連敗「ただ受け入れて、前に進むんだ」
パニックに陥らないよう必死「考えすぎない方がいい」
バックスの低空飛行はなおも続いている。開幕戦に勝利した後は黒星続き。ちょうど1年前に3年1億8600万ドル(約280億円)の契約更新に合意したにもかかわらず、ヤニス・アデトクンボがトレードを要求するのではないかとの噂が浮上しており、チームは到底落ち着いていられる雰囲気ではない。 現地11月2日にはキャバリアーズに113-114で競り負けた。アデトクンボとデイミアン・リラ―ドはともに39分プレーし、アデトクンボが34得点16リバウンド9アシスト、リラードが41得点9アシストと攻守を引っ張ったが、開幕7連勝と絶好調のキャブズの勢いは止められなかった。 トレード要求が話題になっているのを承知してか、アデトクンボは接戦を落とした後も落ち着いた表情でこう語った。「結果にフォーカスするのは僕の仕事じゃない。どうすればもっと良いプレーができるかを考え、試合でベストを尽くし、望む結果になることを願うだけ。(ドノバン)ミッチェルのシュートが外れていたら結果は違ったけど、あのシュートが入るかどうかは僕にはコントロールできない。そう割り切るのは簡単じゃないけど、今はこのチームのリーダーとして、物事が正しい方向に進んでいると思っている。プレーは改善されているし、僕らはお互いを信じている。そちらに集中したい」 1点ビハインドで迎えた残り14秒からの攻めはリラードに託された。ディフェンスのスペシャリストであるアイザック・オコロを鋭い動きで振り切ったリラードがステップバックからのジャンプシュートを決めて113-112と逆転すると、ファイサーブ・フォーラムは今シーズンで一番の盛り上がりとなり、手首に指を当てる『デイム・タイム』のポーズをするファンも大勢いた。しかし、ミッチェルにゲームウィナーを沈められて逆転負け。最後のディフェンスも徹底したもので、ミッチェルにはタフショットを強いていた。アデトクンボが「コントロールできない」と言うのは、そういうことだ。 リラードは『デイム・タイム』と呼ばれる驚異的なクラッチ力を見せたはずだった。だが、ファンが大喜びする中、彼は硬い表情のまま。このゲームウィナーになりかけた一発についても「周囲を見て状況を把握し、ステップバックして打った。ただそれだけのプレーだよ」と口数が少ない。そしてミッチェルのゲームウィナーについては「その直前にディフレクションしていて、守備が悪かったとは思わない。ただドノバンが上回ったんだ」と語った。 一方のミッチェルは、連勝を7に伸ばすクラッチショットを決めたことに大喜びだったが、リラードへのリスペクトは忘れなかった。「僕がNBAでキャリアをスタートさせたばかりの頃、いつも相談に乗ってくれたのが彼なんだ」とミッチェルはリラードとの関係を語る。「彼にはいつだって感謝している。月曜にはまたバックスと対戦するし、彼との勝負はいつだってタフになる。でも、お互いに高いレベルで競い合えるのは、夢のようなことさ」 パニックに陥る寸前のバックスにとっては、勝利こそが特効薬になるのだが、その一勝がなかなか手に入らない。中1日を挟んで、今度はクリーブランドでのキャブズ戦で、またも苦戦が予想される。それでもアデトクンボがそうであるように、リラードも落ち着いている。 「こういった悪い流れから抜け出す唯一の方法は、我を失わず自分のやるべきことに立ち返ることだ」とNBA13年目を迎えたリラードは言う。「調子が悪い日、精神的にキツい夜もあるが、考えすぎない方がいい。真夜中にコートに行ってシュートを打ち続けることもできるけど、やりすぎてしまいがちだ。僕の場合、自分の出来が悪かったこと、勝利に十分な仕事ができなかったことをただ受け入れる。それが次に繋がる一歩になると思っている。シーズンは82試合もあるんだ。調子に左右されて立ち止まるわけにはいかない。ただ受け入れて、前に進むんだ」