久保建英がレアル移籍壮行セレモニーでのブーイングに“神対応“できた理由
機転を利かせて、予定にはなかった行動に出た。あいにくの雨が降り続ける味の素スタジアムのピッチ。センターサークルの中央に立った日本代表MF久保建英は、当初はFC東京のファンやサポーターで埋め尽くされたゴール裏へ体を向けていた。 「みなさん、こんばんは。久保建英です」 FC東京が怒涛の4連続ゴールを決めて、横浜F・マリノスに逆転勝ちした29日の明治安田生命J1リーグ第17節後のひとコマ。世界一のビッグクラブ、レアル・マドリードへ完全移籍した逸材を送り出すセレモニーは、久保が発した「まずは……」という言葉とともに意外な展開を見せた。 白いワイシャツに黒のスラックス姿の久保は体を反転させ、スタンドマイクも自分の目の前に移動。拍手だけでなく笑いも沸き起こす、ユーモラスな言葉を紡いだ。 「横浜F・マリノスのファン・サポーターのみなさま、さっき自分のJ1初ゴールが流されなくて、ブーイングが出ていたと思いますけど、後で自分が(FC東京のスタッフに)言っておきます」 セレモニーはFC東京の選手たちが作る花道を通って登場した久保が、センターサークルの中央へ移動。FCバルセロナの下部組織からFC東京U-15むさしに移籍した、まだ13歳だった2015年5月以降の歩みを振り返る映像がオーロラビジョンに流される演出で幕を開けた。 もっとも、久保がJ1初ゴールを決めた昨年8月26日のヴィッセル神戸戦を含めた、マリノスへ期限付き移籍していた昨年8月以降の約半年間の映像が含まれていなかった。反対側のゴール裏から沸きあがった、マリノスのファン・サポーターによるブーイングを久保は聞き逃さなかった。 「半年間という短い間ではありましたが、自分がいまこうやってここに立てているのは、正直に言いますけど、マリノスに半年間レンタルできたことが非常に大きいと思っています。感謝しかありません。ありがとうございます」