久保建英がレアル移籍壮行セレモニーでのブーイングに“神対応“できた理由
セレモニーが開催されるとあって大半が残っていた元所属クラブのファン・サポーターの笑いを取った後に感謝の思いを捧げ、涙腺をちょっぴり緩ませる。18歳とは思えない話術を披露した久保は、スタンドマイクと体の向きを元に戻したうえで「あらためまして、元FC東京の久保建英です」と移籍に関しては初めてとなる肉声を、前所属クラブのファン・サポーターへ届け始めた。 「こうやって雨のなか、たくさんの人たちが自分のセレモニーを見に来てくれている……かどうかはわかんないですけど、足を運んでくれているというのは非常に感謝しています。いいことばかりではなかったですけど、自分の力もあり、みんなの力を借りて、こうして一人前のサッカー選手として東京を背負って、世界に羽ばたいていけることを非常に誇らしく思います」 プロとして所属した2つのチームが対戦した直後に、慣れ親しんだピッチで眩いスポットライトを浴びる。用意されたような舞台は、森保ジャパンの一員として挑んだコパ・アメリカがグループリーグ敗退に終わり、27日にブラジルから帰国したことで急きょ実現に至っていた。 久保がFC東京の選手たちと顔を合わせるのは、自らの2ゴールで3-1の快勝を収めた1日の大分トリニータ戦以来だった。翌日からは日本代表合宿へ合流し、18歳になった4日をもってFC東京を退団。ブラジルへわたった後の14日にレアル・マドリード入りが発表されたが、久保本人は「代表に集中したい」と移籍に関する言及を避けてきた。 肩書きが「前FC東京」になった後も、古巣の選手たちからは「スペインでも頑張れ」「コパ・アメリカでも絶対にやれる」というエールが届いていたという。FC東京の大金直樹代表取締役社長(52)によれば、再会を果たした元チームメイトたちと久保はこんなやり取りを交わしていたという。 「セレモニーでは泣くんだろう?」 「いや、全然、平気です」 「何を話すのかは考えているの?」 「いや、もうその場、その場です」 つまりマリノスのファン・サポーターへ捧げた言葉の数々は、即興で考え出したことになる。頭の回転の速さだけでなく、大舞台でもまったく物怖じしない度胸のよさを、ユニフォームを脱いだ私服姿になっても発揮した久保は、帰国の直後の本音をこんな言葉で表現している。 「最初はあまり練習とかも行きたくなくて、つらい時期もありました」