<エボラ出血熱>海外旅行で感染疑いがある場合 どう行動すべき?
西アフリカなどで流行中のエボラ出血熱。12月21日現在、死者は7500人を超え、感染やその疑いのある患者数は1万9000人を超すなど依然として猛威を振るっています。先月には、日本でもリベリアから帰国した男性が発熱症状を呈し、エボラ出血熱にかかっている可能性があるにもかかわらず一般医療機関を受診したことが発覚。国内でもエボラ出血熱が流行するのでは……と危惧されました。 年末年始の連休で海外に渡航する人も多い時期。もし自分が流行国から帰国し、感染の可能性が疑われる場合、どのように行動し治療を受けるべきなのでしょうか。国立感染症研究所の西條政幸さんに聞きました。
医療機関に直接行かないこと
これまで空港の検疫所で入国者に配られる指示書には、発熱などの症状が出た場合は検疫所に連絡するよう記載されていました。しかし先月のケースを受け、指示書に「絶対に直接、医療機関に行かないでください」と明記するなど、厚生労働省は対策を強化することを明らかにしました。西條さんはこう言います。 「まずは、検疫所もしくは保健所に連絡します。その後、特定または第1種感染症指定医療機関に搬送され、そこで検査や治療を受けることになります。現在、エボラ出血熱に対するワクチンがないため、点滴で水分や栄養を補給したりし、発熱やおう吐など、今起きている症状を緩和するための対症療法を行います。また、腎不全の兆候が認められる場合には利尿剤を投与するなどします。ただし、これはエボラ出血熱に対する治療ではなく、あくまで補助療法です。患者の免疫力が高まり、回復するのを待つほかありません」 エボラ出血熱は致死率が高いことで知られていますが、その理由はウイルスの病原性が高く、予防・治療法がないためです。エボラウイルスが増殖するのを防ぐ薬としては、「ZMapp」と「ファビピラビル」という2つの治療薬が候補とされています。どちらもエボラ出血熱に関しては未承認で、その効果は未知数ですが、厚生労働省は「ファビピラビル」を国内での治療に使うことを事実上容認しました。