曇りや雨の日も「熱中症対策」が必要な理由をご存知ですか? 気温以外に注意すべき点を医師が解説
曇り・雨の日でも熱中症に注意が必要?
編集部: 熱中症はどのような原因で発症しますか? 志賀先生: 熱中症は、熱吸収の増加(気温が高い、外での運動・作業、エアコンのない屋内で過ごす)と熱放出の低下(湿度が高くて汗が蒸発しにくい、病気や薬で汗が出にくい、服装が熱のこもる厚着でぴったりした物や、換気の悪い物など)がいくらか組み合わさることで引き起こされます。 編集部: 夜間、屋内にいても熱中症対策は必要ですか? 志賀先生: もちろん必要です。実は熱中症は屋内での発症が半数近くなっています。特に、湿度や気温が高い場合には、汗を出したり蒸発したりするのが難しくなるため、注意が必要です。 編集部: 曇りの日や雨の日でも熱中症のリスクはありますか? 志賀先生: あります。曇りや雨の日は湿度が高くなりますので、注意が必要です。太陽が出ているか出ていないかだけではなく、気温や湿度が高ければ、体の中に熱がこもってしまいます。そこで、どんどん体に熱がこもってしまって調子が悪くなっていきます。汗が出にくい場合でも少しずつ出ていくので、徐々に脱水になり、ますます体や臓器の調子が悪くなるサイクルが進んでいきます。
熱中症を予防するための方法とは?
編集部: 熱中症の初期症状が見られた場合に取るべき行動を教えてください。 志賀先生: まずは、日陰やクーラーのあるところに移動しましょう。水分を取れるなら、経口補水液やスポーツドリンクを飲んでください。話せない、歩けない、水分が取れない場合は、回復体位をとって救急車を呼ぶ必要があると考えましょう。体温が非常に高い場合には、水風呂に何人かで入れる、屋外のスポーツイベントには、簡易式プールを用意することを推奨します。そのような設備が無ければタープ法(ビニールシートの真ん中に人を乗せて左右から持ち、人のところに水と氷がたまるようにしてシートを動かして冷却する方法)を用いて体を冷やすことが推奨されます。 編集部: 熱中症になりやすい人の特徴はありますか? 志賀先生: 子どもや高齢者、持病がある、肥満体型、普段運動しない、お酒やカフェインを摂る、水分や塩分を摂らない、疲れている、睡眠不足、二日酔い、朝食を摂らない方など、これらの特徴に当てはまる人は健康な人に比べて熱中症になりやすいと言えます。 編集部: 自分自身でできる熱中症予防にはどのような方法がありますか? 志賀先生: 暑熱馴化(しょねつじゅんか)といい、暑い環境に体を慣れさせておくことで、熱中症の予防につながります。シーズン始めは1日30分程度の屋外活動から始めることがおすすめです。その後1日あたり30分~1時間程度活動時間を伸ばしていきましょう。暑い日は屋外での活動や作業を控える事も熱中症を防ぐ方法の1つです。どうしても活動する場合は、2人1組で15~20分に一度水分(経口補水液やスポーツドリンク)を補給しましょう。また、屋内ではクーラーをつける、家族は高齢者を定期的に訪問や電話で確認する、自動車に子どもや高齢者を置き去りにしない事も大変重要です。