「石破ショック」とは、一体どのような事象だったのか? 投資と政治の関連性を紹介
9月30日、日経平均株価は前日比マイナス1910.01円と大きく値下がりし、この日、X(旧Twitter)上では「石破ショック」という言葉がトレンド入りしました。このような暴落は、9月27日に自民党の総裁が石破氏に決まったことを受けた動きですが、政治が株式市場などの市場(マーケット)に影響を与えた典型的な例といえるでしょう。 投資にはリスク(不確実性)がつきものですが、投資をするうえでは、このような政治リスクも認識しておく必要があります。 そこで今回は、政治的なメッセージが投資環境に与える影響について考えていきます。
政治がマーケットに与えるメッセージ性を見誤らないことが大切
石破ショックが起こった当日の夕方、筆者はある相談者から「どうして株価が急に下がったのですか」と聞かれました。筆者は「石破さんが自民党の総裁になったからだと思います」と答えましたが、その方からは再度「どうして石破さんが自民党の総裁に選ばれると、株価が下がるのですか」と尋ねられました。 この質問に対し、筆者は内心疑問を抱きましたが、同時に「投資経験がそれほどない人の『投資家としての感覚』が薄いのは当然だろう」とも思いました。 「投資家としての感覚」とは、発信された情報をマーケットがどのように解釈するか、想像する力のことです。例えば今回のケースでは、「以前からの石破氏による一連の発言(投資家や企業に対して課税を強化するなど)が、株式市場ではネガティブに受け止められるのではないか」といったことを連想する力です。 石破氏は次期自民党総裁候補として人気の高かった人物ではありましたが、このような国民感覚で投資をしてしまうと、今回の石破ショックのような株式市場の暴落に巻き込まれかねません。このようなことから、投資において政治リスクに対応するには、政治が発信する「メッセージ性」に注視する必要があります。
「石破ショック」とは何だったのか
それでは、「石破ショックとは何だったのか」という問いに移ります。石破氏は、自民党の総裁になる前、財政健全化に前向きな発言をしていたことで知られていました。マーケットでは「いわゆる緊縮財政派」と受け止められていたため、例えば、利上げ等に積極的であるというイメージが持たれていました。 実際に、石破氏が自民党の総裁に選出された後の9月30日、短期国債(2年物国債)の利回りは約20.0%も急騰しました。債券市場では「追加利上げが前倒しされる」との思惑が急速に広がり、これが株式市場において石破ショックを引き起こしました。