「石破ショック」とは、一体どのような事象だったのか? 投資と政治の関連性を紹介
2回目の石破ショックが起こる可能性を探る
株式市場などのマーケットは、政治の不安定さを嫌がります。マーケットは不確実性(リスク)を好まないのが常ですが、政治リスクもその通りです。石破ショック後、石破政権はマーケットの動揺を落ち着かせるため、金融所得課税の話を封印し、また「財政健全化についても急がない」などこれまでの石破氏の発言と真逆なことを言い出しました。 この結果、株式市場は少し落ち着きを見せましたが、再び短期金利は上昇し、株式市場にとって重しになっています。これは「今回の衆院選では政権交代が起こらず、従来の岸田路線が掲げていた金融政策を踏襲する可能性が高い」とマーケットが考えているからです。 つまり、「マーケットがある程度落ち着けば、いずれ利上げが実施される」という可能性を、マーケットが再び織り込みはじめているのです。 衆院選が終わると、アメリカでは大統領選挙の投開票が行われ、その後間もなくして、連邦準備制度理事会(FRB)が追加の利下げを実施するかどうかの判断がなされます。 現在の株式市場はこのようなスケジュールも重なり、判断の難しい局面にありますが、その間、特に衆院選の結果次第では、2回目の石破ショックが起こる可能性を指摘する声も、マーケットに出てきています。 仮に2回目の石破ショックが起こる場合、自公政権の維持により、債券市場が再び利上げを意識しはじめる、というシナリオが成り立つかもしれません。直近では12月の追加利上げ観測が指摘されており、その可能性が高まるならば、株式市場にとっては向かい風が吹くことを、念頭に置く必要があるでしょう。
まとめ
“選挙は買い”という、アノマリー(経験則)があります。これは、「選挙が実施されると、次期政権への期待から株価が上がる傾向がある」という意味です。しかし石破氏が自民党総裁になり、また石破政権誕生後、現在実施されている衆院選を受けても、株価はアノマリーどおりの動きをしていません。 このような現状を見ただけでも、政治は投資にとって重要なリスクファクターであることが分かります。 新NISAが始まり、かつてと比べ投資をする人が増えています。私たちは生活者でもあり、個人投資家でもあります。政治が発信するメッセージに注目して投資を行うと、より一層、生活者目線で語られる金融・経済政策に関心が持てるようになるのではないでしょうか。 執筆者:重定賢治 ファイナンシャル・プランナー(CFP)
ファイナンシャルフィールド編集部