「越境EC」「人型ロボット」「空飛ぶクルマ」⋯2024年の中国ビジネスを知る5つのキーワード【年末特集】
AI活用サービス
2023年に生成AIは中国でもブレイクし、個人向けサービスIは多数登場したが、2024年には企業向けソリューションとしてさらに進化。前述した越境ECでは中国企業が海外へ販売することを目的として、商品の紹介動画をアップすると、自動翻訳・口パク対応の動画生成や、多言語対応の商品紹介ページ作成などが実用化され、効率化を支えた。 たとえば、2024年のパリ五輪では中国企業がAIを活用したデザイン制作やグッズ生産で大きな進展を見せた。五輪に合わせて世界規模で売れるネイルをつくるべく、デザイン作成には画像生成AI、フィードバックには意見を出すAI、さらにデザインの絞り込みを評価するAIという3種類のAI組わせて活用。これにより短時間で多数のデザインを絞り込んで多種多様なネイルを効率的に量産すること可能となった。 このような生成AIの活用はネイルにとどまらず、シルク製品メーカーの万事利をはじめとするアパレル業界全体にも広がり、デザイン工程の効率化が進んでいる。 ロボット分野でも「枢途科技(SYNAPATH)」などによるマルチモーダルLLM導入が進み、自ら考えるロボットの敷居を下げた。自動運転を活用した新ビジネスも目立ち、武漢の広い地域でロボタクシーの実用化をはじめ、工場や港湾や鉱山など様々な場所でAIを活用した自動化ソリューションが導入された。 2025年もさまざまなジャンルでAIの活用や導入は進む見込みだ。特に、もともとコストパフォーマンスに優れた中国製品とAIを活用したデザイン、さらには越境ECとの組み合わせは、中国製品の競争力をさらに押し上げると考えれる。また、西側諸国の製品と比較して圧倒的な低価格を実現しているロボット製品なども、中国がグローバル市場で優位性を発揮する一因となる。これらの分野での技術革新と市場開拓は、2025年以降も中国経済の成長を支える原動力となるだろう。 (文:山谷剛史)