「老眼」は治せる時代に! 治療法の種類や医院選びのポイントを眼科医が解説!
老眼の手術を受ける際、どのように医療機関を選べばいい?
編集部: 老眼の手術を受ける際に、どのような基準で医療機関を選べばいいのでしょうか? 野口先生: まずは、どのような手術をおこなっているのか、しっかり確認して医療機関を選びましょう。特に気をつけたいのは、白内障と老眼の同時手術です。50~60代になると若いときほど水晶体にクリアさや柔らかさがなくなっているのに、ご自分では白内障と気づいていないことがあります。水晶体の自然な老化変化を意味する言葉に「水晶体機能不全症候群」があります。このような症状が出現しているか的確に診断し、それに適した治療法を選択してくれる医療機関を選ぶことが必要です。 編集部: ほかにも知っておくべきことはありますか? 野口先生: 老眼の治療について学会で論文を発表している、あるいは医師に向けての研究雑誌に論文を掲載しているといった実績も考慮しましょう。老眼の治療は非常に進化の早い分野です。そのため、最新の知見を理解しているかが、良い医師を見分ける鍵になります。特に眼内レンズに関しては、専門の眼科医は非常に少ないため、注意が必要です。眼内レンズは未知の部分が数多く存在するため、研究や開発をおこなって、眼内レンズについて精通している眼科医を選ぶことが重要です。 編集部: 医院を選ぶ際の注意点があれば教えてください。 野口先生: 各施設のHPなどの眼内レンズの説明で、「全てにおいて優れているような表現」や「新しいレンズだから優れている」などの記述は、正しい情報ではない可能性もあるので注意してください。眼内レンズには必ずメリットとデメリットが存在しています。また、メーカー提供の情報には誤りもあるので、そこを指摘できている眼科医であるかどうかも大事だと思います。 編集部: 診察時の対応でチェックするポイントはありますか? 野口先生: どのようなレンズを用意しているのかを確認してみてください。レンズの選択肢がたくさんある方が、自分にフィットしたものを選びやすくなります。また、術式によるメリットやデメリットを正確に教えてくれるところを選びましょう。加えて、手術の方法を検討するときには保険が適用になるのかどうか、手術によるリスクはないのかなども確認することをおすすめします。 編集部: 医療機関により、同じ手術でも「上手い」「下手」という違いはあるのですか? 野口先生: 残念ながら技術の差は存在します。必ずしもそうとは限りませんが、実績が多い医療機関ほど、手術に慣れているため手術の精度が高まるということも考えられます。術式による治療実績数などがHPに掲載されていると参考になるかもしれませんね。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 野口先生: 昨今は、過去の常識にとらわれない治療が開発されてきています。特に50代になると、いわゆる白内障が強く認められなくても、眼内レンズを移植した方が視機能が大きく向上することもわかってきています。老眼治療は、老眼に悩む世界中の人にとって最後の砦と言っても過言ではなく、眼科の領域で最も研究が進んでいる分野でもあります。革新的な発明のラッシュが続いているため、それに乗り遅れないよう、医師だけでなく患者さん自身も情報をアップデートし続けることが大事です。もし、ご自分のお住まいの近くに良さそうな医療機関がない場合には、満足いく治療を受けるために、遠方へ足を伸ばすことを検討するのもアリだと考えます。