「ママ友と離れるとホッとする」その関係は問題あり!コミュニケーションのエラーに気づくには
パートナーや子ども、ママ友、職場の人など、人間関係に何かしらの悩みを抱いている方は多いでしょう。その悩みに対して、どのようなアプローチを講じていくとよいのでしょうか。 【画像8枚】教育アプローチSEL(Social Emotional Learning/社会性と情動の学び)が育む“5つの能力”を画像で見る 累計5,000人以上のママ世代のお悩みに耳を傾けてきた株式会社ママプロジェクトJapanの岩田かおりさんと、SEL(Social Emotional Learning/社会性と情動の学び)という教育アプローチで主に学校現場において社会的なスキルと感情的なスキルを育み、この度『世界標準のSEL教育のすすめ 「切りひらく力」を育む親子習慣 学力だけで幸せになれるのか?』(小学館)を上梓した株式会社roku youの下向依梨さんに話を聞きました。
「みんな我慢している」ではなく、「気づく」からスタート
現代社会において、人間関係の悩みを抱えている方は多いのではないかと思います。kufuraの過去の調査では、3人に1人が人間関係に悩んでいるという結果が出ています。もし、今、身近な人との関係性に悩んでいたら、解決に向けてどうアプローチしていくとよいのでしょう。 岩田かおり(以下、岩田)「人間関係の問題は誰もが抱えています。パートナーシップはうまくいっている人でも、ママ友との関係はうまくいかないというケースもありますし、その逆もあり得ます。私は、ママ世代の課題を聞いたり講座でその解決策を一緒に見出していったりする仕事をしているので、特にお悩みをよく触れる立場ではありますが、すべての人間関係にうまくいっている人の方が少ないでしょう。 また、“うまくいっているフェーズ”と“うまくいっていないフェーズ”もあります。たとえば、パートナーシップは、ずっとうまくいっているわけではなく、うまくいかない時期を乗り越えて、関係性が良好になっていくことも多いのです」 ――好転する人の特徴はどんなことでしょうか。 岩田 「“気づく”ことができる人です。“この人とのコミュニケーションで、私は頑張りすぎていたな”“求められることに対応しすぎていた”といったことに気づいた人は変わっていきます。 日本人は、自分の辛さに気付くことが苦手だと思うんです。“みんな我慢しているから”と、自分の苦しさに蓋をしてしまう。まずは、その蓋を開けるところからスタートします」 下向依梨(以下、下向)「私はSEL(Social Emotional Learning/社会性と情動の学び)という教育アプローチで、これまで小学校から大学約100校の学校改革や探究学習の支援に関わってきました。この学びは“ソーシャル”と“エモーショナル”というふたつの要素から構成された学びです。 “ソーシャル”は、人と良好な関係を築くための社会的能力を指します。一般的にソーシャルスキルとも呼ばれるものです。“エモーショナル”は、自分自身の感情や考えに気づき、また他者の状態を理解し、それに適切に対応する能力を意味します。これらの能力を伸ばすことが、SELの目的です。 SELは5つの力を高めますが、岩田さんがおっしゃった“気づく”ことは、そのなかの一つである“自己理解”につながる重要なポイントだと感じました」 ――自分の気持ちに「気づく」ためにはどんな意識が必要ですか。 下向「自分から湧いてくる感情や気持ちに対して、“ノンジャッジメンタル”であることが欠かせません。ノンジャッジメンタルとは、判断せずにありのままに受け止める態度です。多くの大人は、“悲しみ”や“苦しみ”はネガティブで、“うれしさ”や“楽しさ”はポジティブな感情だととらえています。そのため、ネガティブな感情には蓋をしなければいけないと感じてしまう。 しかし、本来は感情にネガティブもポジティブもありません。 たとえば、“この人と一緒にいると元気がなくなるな”と思っても、“この人にはお世話になったから仲良くしないと”といった論理で、自分の気持ちを打ち消してはいないでしょうか。ノンジャッジメンタルとは、否定も肯定もせずに“一緒にいると元気がなくなる”という自分の感情・気持ちを受け入れることです。岩田さんのおっしゃる“蓋をしない”ということですね」