ルポ ″令和6年の米騒動″「ご飯一杯がぜいたく品になる日がやってくる」
「売り場から米が消えた……」 全国各地のスーパーで消費者が悲鳴を上げている。昭和の時代から100%近い自給率を誇っている日本の主食に、一体何が起きているのか。 【画像】米売り場の棚はすっからかん 「1家族様1点まで」の張り紙も… 8月下旬、FRIDAY記者が東京や埼玉などいくつものスーパーに足を運ぶと、米売り場が完全に空っぽになっている店舗や、「1家族様1点まで」などと購入制限がかかっているところばかり。令和の米騒動に発展しそうな勢いだ。パンやパスタなど他の炭水化物は潤沢にあるのに、なぜ米だけが……。 「まず、昨年の猛暑が原因で米の収穫量が減少したことが要因としてあります。知人の農家も、『米が穫れなかった』と嘆いていました。そんななかインバウンド客が大挙して押し寄せ、寿司や丼ものなどの需要が急増したことで、米の供給が追い付かなくなった。また、今年に入って地震や台風などの自然災害が相次いだことで、緊急時の備蓄用に買い占める人も出てきた。複数の要因が重なって米の品切れが起こってしまったのです」(消費経済アナリスト・渡辺広明氏) ◆猛暑は”米の質”にも影響 米に起きている″異変″は生産量の減少に留まらない。日本の農業や林業に詳しいジャーナリストの田中淳夫氏は、「国産米の質が落ちている」と指摘する。 「コシヒカリやあきたこまちなどの主要銘柄は高温が続くと上手く光合成ができず、十分にデンプンが作れません。デンプンが不足すると、形や色が悪い米になってしまうんです。昨年の猛暑により、定められた品質基準をクリアした国産米が激減。流通量が大幅に下がっています。今年は昨年を凌ぐ猛暑です。高温に対応できる水田の管理法や栽培方法を編み出さないと、日本で米が穫れなくなってしまいます」 今年8月16日に発表された’23年産米の7月分の集荷業者から卸売業者への販売価格は、前年同月に比べ13%も上がっている。これは、店頭での小売価格を直撃する。都内でスーパーを経営している業者が、こう打ち明ける。 「今年4月頃と比べ、5㎏の国産米の価格を600円ほど上げました。市場に出回る米の在庫が減って仕入れ価格が高騰しているためで、今後さらに数百円ほど上げるかもしれません。一般の家庭にとって国産米がぜいたく品になる可能性があります……」 円安をバックに外国人が日本の製品を爆買いする一方で、私たちの食卓から米が消える日がくるかもしれない。 『FRIDAY』2024年9月6・13日合併号より
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