母が亡くなったと、銀行でしゃべったばかりに…母の口座が凍結されて呆然。葬儀費用の捻出に、その後の口座のお金の分割、一体どうすれば?【相続専門税理士が解説】
相続時の銀行口座の解約手続き→預金引き出しの流れ
では、相続人全員が遺産分割に合意し、相続人全員からの必要書類が集まった場合、その後の手続きはどうなるのでしょうか? 選択肢は、上述した通り「解約」もしくは「名義変更」の2つです。 ★解約する場合 遺言書や遺産分割協議書の有無により、必要な書類が違ってくるため、銀行に電話して確認する必要があります。もっとも、ほとんどの金融機関には相続対応の部署があるため、そちらで詳細を教えてもらえます。場合によっては、郵送のやり取りだけで手続きが完了できるケースもあります。 遺言書がなく、遺産分割協議書のみの場合は、故人の「預金通帳」「キャッシュカード」、そのほか「遺産分割協議書」、故人の「出生から死亡まで連続した戸籍謄本」「相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書」が必要です。故人の戸籍謄本については、法務局で法定相続情報一覧図を作ってもらい、その写しを代わりに提出することも可能です。 ★解約する場合の「払い戻し」の注意点 解約したときの預金の払い戻しの方法ですが、「現金で受け取る方法」と「相続人の口座に振り込む方法」があります。多額の現金を引き出すのは安全面の問題もありますので、口座に振り込んでもらうのが一般的です。 ただし、ゆうちょ銀行の残高は、ゆうちょ銀行にしか振込みできませんので、注意が必要です。 もし故人がゆうちょ銀行に口座を持ち、相続人にゆうちょ銀行の口座がない場合は、相続人が新たに口座を開設するか、もしくは現金で引き出すことになります。 ★相続時の「銀行預金の名義変更」の方法 銀行口座の名義を変更する場合の必要書類は、基本的に解約手続きの場合と同じですが、念のため、前もって金融機関に確認しておいたほうが安心です。
銀行預金の解約や名義変更に「期限」はある?
銀行預金の解約や名義変更をしたくても、必要書類を揃えるのに時間がかかるなどして、速やかにおこなえないケースもあるでしょう。 これらの手続きには、基本的に期限はありません。ただし、相続税の申告と納税には「相続発生日または相続発生を知った日の翌日から10ヵ月以内」という期限がありますので、それに合わせてできるだけ早めに着手するのがお勧めです。 手続きに不安がある場合は、多少の費用はかかりますが、相続の専門家に手続代行を依頼するほうが安心かもしれません。 岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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