「103万円の壁」超えると…負担大きいのは子どもではなく、親だった 自治体で「415億円の減収」試算 鹿児島
この103万円の壁でもう1つ問題になっているのが、この額を超えないように勤務時間を抑えてしまう、働き控えです。 天文館の焼鳥店です。学生を中心にアルバイト14人が働いています。 これから、年末の忘年会シーズンを迎えますが、14人のうち3人が年収103万円目前となっていて、シフトの細かな調整に追われています。 (大衆やきとり 頂 末吉雄典店長)「繁忙期なので、できるだけスタッフにも入ってほしいが、早上がりしてもらったり、遅く来てもらったり、少し削ったりして12月に入ってもらえるようにしている」 鹿児島市の専門学校に通う中島優太さん(19)です。週に2~3回、1日6時間勤務し、今月までの収入は95万円ほど。1人暮らしの家賃や光熱費などに充てています。 (アルバイト 中島優太さん)「掛け持ちもしたいし、もっと稼ぎたい。バイクが好きで、もっとバイクのカスタムとかしてみたい」 一方で、10月の最低賃金の引き上げに伴い、店の時給は、7年前のオープン当時は830円でしたが、今では1000円に。しかし、103万円の壁は、1995年以降、変わらないままです。 (大衆やきとり 頂 末吉雄典店長)「稼げる金額は変わらないので、スタッフも物価も上がる中で好きなこともできない。店側ももっと入ってほしいけど入ってもらえないので、引き上げてほしいという気持ちはある」 時給が上がる一方で、103万円の壁はこの30年近く変わらず、結果、働き控えにつながってしまいます。政府は今月22日、「103万円の壁」を見直す総合経済対策を閣議決定し、議論が本格化しています。 一方、県は税収への影響を懸念しています。 県は、仮に103万円の壁を178万円まで引き上げた場合、県と市町村であわせておよそ415億円の減収になるとの試算を明らかにしています。 (塩田知事)「人手不足の解消には一定の効果があると思うが、見直しを行うにあたっては、税収への影響があるので十分配慮しながら検討を進めていただきたい」