J1昇格不可の町田が残留争いの行方を握る不可思議
来シーズンのJ1及びJ2リーグを戦うために必要となる、Jリーグクラブライセンスの判定結果が27日、Jリーグから発表された。J1ライセンスは今シーズンより1増の41クラブに、J2ライセンスは1増1減の7クラブにそれぞれ交付され、不交付となったクラブはなかった。 今シーズンから変更となったのは、J2の水戸ホーリーホックとJ3のブラウブリッツ秋田。前者にはJ1ライセンスが、後者にはJ2ライセンスがともに初めて交付されたが、水戸がJ1昇格に必要な順位要件を満たさなかった場合は解除される条件がついた。 2012年に導入されたクラブライセンス制度は、各クラブを(1)競技(2)施設(3)人事体制・組織運営(4)法務(5)財務――からなる5つの基準で厳密に審査して交付される。今年を例にすれば、各クラブは6月30日までにライセンス申請に必要なすべての書類を提出する。 受理したJリーグ内のクラブライセンス事務局・評価チームは、必要とあれば各クラブにヒアリングを実施。その上で8月末までに評価レポートを作成し、弁護士や公認会計士ら10人で構成される、第三者機関の 「クラブライセンス交付第一審機関(FIB)」へ提出する。 そして、FIBによる判定結果がこの日に発表された。水戸はJ1昇格を前提として、ケーズデンキスタジアムではなく笠松運動公園陸上競技場をホームとして申請。実際に昇格を果たした場合は、トイレ数や屋根のカバー率を来春の開幕までに改善する計画がFIBから承認された。 しかし、昇格を逃した場合は今シーズン同様にケーズデンキスタジアムを使用するため、交付されたJ1クラブライセンスが失効。J2クラブライセンスへ変更されるため、初めてのケースとなる「解除条件付き交付」となった。水戸は残り8試合となったJ2戦線で11位につけている。 2010シーズンからホームとしてきた水戸市のケーズデンキスタジアムを、あえて茨城・那珂市の笠松運動公園陸上競技場に変えて申請した理由は、スタンドの入場可能数と密接にリンクしている。 JリーグではJ1基準で1万5000人以上、J2基準では1万人以上1万5000人未満の入場可能数が定められている。ケーズデンキスタジアムのそれは約1万2000人、笠松運動公園陸上競技場のそれは2万2002人となっていることから、基準の(2)施設を満たすために変更に踏み切った。 一方で施設の基準を満たせず、FIB判定でJ2ライセンスが交付されたのが、J2首位の松本山雅FCに勝ち点で3ポイント差の2位につけるFC町田ゼルビアだ。この結果、町田は2位以内に入ってもJ1へ自動昇格できず、3位から6位までの4チームに出場権が与えられるJ1参入プレーオフにも出場できなくなった。