J1昇格不可の町田が残留争いの行方を握る不可思議
町田のホームスタジアム、町田市立陸上競技場の入場可能数は1万328人にとどまっている。もっとも、J1ライセンス取得へのハードルはこれだけにとどまらない。J2ライセンス交付を受けて、町田は公式HP上でスタジアム以外の課題をこう挙げている。 「設備基準を満たしたクラブハウス、天然芝またはハイブリッド芝ピッチを1面以上有する専用の練習場を用意すること、等の要件が控えています」(原文のまま) 町田市立陸上競技場に関する改修は行政が中心を担う。実は開幕から上位戦線につけた2016シーズンも、スタジアムがJ1ライセンス基準を満たしてない件がクローズアップされた。好成績を残してもJ1昇格がかなわない状況で、それでも7位と大奮闘した軌跡が町田市内の世論を動かした。 J1基準を満たす約1万5000席への増設を目指して、市側は昨年度に総額約48億円をかけた町田市立陸上競技場改修の基本設計を策定。バックスタンドを現状の1階建てから3階建てとして、さらに屋根でカバーする青写真のもと、今年度中には造成工事が始まる予定だ。 残されたクラブハウスと練習場の整備は、言うまでもなくクラブのマターとなる。懸命に頑張る現場に呼応するべく、ゼルビアのフロントも前出の公式HP上で決意を新たにしている。 「クラブでの確保を目指し、努力を続けているところでございます。早期の解決を目指し、今後も関係各所と連携して参ります(原文のまま)」 町田市側の計画では、新装スタジアムの竣工予定は2021年2月。J1という夢を成就させるためにはもうしばらくの時間を要することになるが、実は町田の今後の成績は、Jリーグの歴史上でも前例のない大混戦となっているJ1の残留争いにも大きな影響を与えてくる。 今シーズンのレギュレーションでは、J1の17位と最下位がJ2へ自動降格し、16位が新たに導入されたJ1参入プレーオフへと回る。J2の3位から6位までの4チームがまずトーナメントを行い、勝者がJ1の16位との一発勝負で、残留か昇格かをかけて対峙する。 ただ、上位勢で唯一J1ライセンスをもたない町田が2位以内でフィニッシュした場合は、3位のチームが繰り上がる措置は取られない。自動昇格だけでなく自動降格も1チームだけとなり、J1では最下位チームが対象となる。必然的に17位がJ1参入プレーオフへ回り、16位は無条件で残留となる。 残り7節となったJ1戦線では、10位の清水エスパルスから最下位のV・ファーレン長崎までの9チームが勝ち点7ポイント差にひしめき合っている。さらには23日の浦和レッズ戦で4失点を喫し、4連敗となった9位のヴィッセル神戸も、不調から抜け出せなければ一気に巻き込まれるだろう。