初めて明かすW杯予選敗退の真実。フットサル元日本代表監督・木暮賢一郎、栄光と挫折の969日【独占インタビュー】
「責任は自分にある。ただし、胸を張りたい」
──試合終了の笛が鳴った瞬間はどんな心境でしたか? たくさんの方々に申し訳ない気持ちや、ポテンシャルのある選手たちを世界に連れていきたかったという思い、悔しさなど、当然、思うことはいろいろとありました。 ただ、敗退直後に感じていたのは、そういった言葉というよりは、直感的に自分がどうあるべきか、どうなっていくかといった感覚でした。 この結果を受けて、自分がどのような責任を負わないといけないかは、誰よりもわかっていましたし、今も理解しています。なので、状況を無理に自分のなかに落とし込もうとしたわけではなく、感覚的に、次の未来はわかっていたのかなと思います。 ──木暮さんが監督として積み重ねてきたプロセスは、評価されるべきものだと感じています。それでも、W杯出場を逃したという結果が何よりも重く、決定的なものだ、と。 自分自身への見方は二つあります。 一つは、結果を問われる代表チームにおいて、W杯出場を逃した監督がそのまま継続して指揮を執るべきだとは思いません。もちろん今回のW杯で躍進したウクライナ代表のように、出場権を逃しても継続した強化を行なってきた結果、ベスト4に入ることもあります。ですが監督は責任を取る立場にありますし、(代表監督の退任は)当たり前のことだという気持ちです。 もう一つは、スポーツには絶対がなく、勝敗が決まっているわけではありせん。僕らが勝者に回る時もあれば、相手チームにスポットライトが当たることもあります。自分は、勝ったからいい監督で、負けたから最低な監督だと思うことはありません。当然、この責任は受け入れますが、負けたから自分の人生が悪かった、自分の仕事が悪かったとも思いません。 大事なのは、一つの試合や得点を切り取って、この人は「スター」であるとか、この人は「悪者」であるとか、そうやって決めつける必要はないということです。 代表監督としては、2年という短い間の仕事でした。ただし、コーチやU-20日本代表監督、日本女子代表監督など、6年間でさまざまなカテゴリーに携わり、その期間で指導者養成など、表には見えないところでも携わってきました。 そうしたプロセスは、負けたからといって誰かに否定されることも、自分自身が否定することも違うと思います。これまでやってきた仕事に対しては胸を張るべきだと考えています。 試合に引き分け、敗退が決まった直後、感覚的にはこの二つの感情が浮かびました。 ──直後に感じた思いは、今も変わらない? そうですね。日本に帰ってからは「あの時こうしていれば」「なぜこんなことが起きたんだ」と考えましたし、いまだに自問自答を繰り返す時もあります。 ただ、どれだけ考えても、最後にたどり着くのはその二つです。 責任は自分にある。それと同時に、勝ったからいいとも思わないし、負けたから悪いとも思わない。プロセスが正しかったかどうかはわからないですが、胸を張りたいと思います。
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