「高3の夏休み」にオーディション合宿。秋元康プロデュースでデビュー・加藤柊が難関国立大に合格するまで
「高3の夏休み」にオーディションの合宿
本業の勉強で、成績を残していれば、保護者も認めざるを得ないだろう。それと同時に、加藤さんはオーディションも受け続ける。高校2年生の3月、秋元康氏総合プロデュースの「IDOL3.0 PROJECTオーディション」の三次面接を突破。 その後、上京を伴う週末のレッスンを受けつつ、高校3年生の8月にオーディションを突破した者だけが参加できる、5泊6日の合宿に行く。しかし夏は受験の天王山と言われる時期だが…… 「両親には、今後のオーディションと模試の計画をまとめたものを見せつつ、受験勉強の計画をプレゼンテーションしました。その上で『どうしても行かせてほしい』と出してもらい、合宿に参加したのです。 そこで出会ったのは、信じられないほど可愛く、驚くほどダンスも歌も上手な女性ばかりでした。全国から100人以上が参加したのですが、熱量もものすごく高くて、すごく劣等感を覚えました。 でも、やるしかありません。5泊6日、歌とダンスのレッスンをみっちりこなし、グループに分かれて課題曲を発表します。最終的には個人の評価で名前を呼ばれた11名がWHITE SCORPIONとしてデビュー。私は名前を呼ばれずデビューを掴むことができませんでしたが、“FINALIST(ファイナリスト)”として、残していただくことになったときは、本当に嬉しかったです。 合宿を終え北海道に戻り、直行したのは、模試の会場。全てを出し切った後だったので、結果はE判定。合宿に参考書を持って行きましたが、勉強時間はゼロでした。成績はたった6日間、勉強から離れただけで落ちることがわかり、『これはでまずい』と、勉強に集中しました」
塾には通わず、独学で現役合格
しかも加藤さんは塾ナシの独学で受験勉強をしていた。夏の模試で成績が落ちたあと、どのように成績を上げていったのだろう。 「9月、10月と共通テストの仕上げを行い、参考書と過去問題を繰り返し解いて、弱点を潰していきました。自分自身を勉強漬けにして、起きている時はほぼ勉強。気づけば床で寝ているという毎日です。そんなときふと、SNSを見ると、合宿でデビューが決まったメンバーが、メディアに出てアイドルの活動を始めているのです。 その度に、自分の能力不足を痛感して、『もっと努力すれば、道は開く』と机に向かい続けました」 その努力が実ったのは、2024年2月。前期日程で受験した第一志望校の合格通知を受け取ったのだ。 「受験勉強は、私一人ではなく、合宿で友達になったメンバーたち、学校の友達と励まし合ったから突破できました。4月に上京し、大学生活とレッスンを行う生活が始まりました。FINALISTではありますが、デビューしていないので、曲も衣装もありません。試行錯誤しながら、知っていただくために、ライブや配信を行っていたところ、2024年10月に新グループ『Rain Tree』としてデビューすることが決まったんです」 デビューを待つ間も、レッスン、リアル会場でのライブ、SNS配信などの活動をこまめに行っていた。イベントの登壇もあったという。 「事務所の方のサポートを得て、学業と両立しています。大学の勉強も楽しく、学びを深めていい成績を残せています。今、勉強しているのはSDGs。今、教育関連に興味があり、女性の学びや知識、社会的経験と幸福度の関係についてなど、研究して行きたいと思っています」 加藤さんは大学でSDGsの学びを深めており、「未来につながる選択がしたい」と、エシカルなアイテムを選ぶようにしているという。取材当日に持参した傘も、再生ペットボトルから作られた繊維を使ったものだ。 加藤さんは「憧れのNiziUの皆さんのように、元気を与えられる人になりたい」と笑顔で語った。彼女が今後、どのようなメッセージを発信してくのだろうか。まずは、デジタルデビューシングル『I L U』を楽しみにしたい。 加藤柊 2005年7月13日 北海道生まれ。2024年から大学生とアイドルとしての活動をスタート。『Rain Tree』として、2025年1月29日デビュー。
前川 亜紀(ライター・編集者)