まもなくアメリカ新政権誕生 「台湾有事」への影響は…“トランプ2.0”に身構える台湾
■台湾の若者は…「半導体産業に自信」「米中対立の捨て駒に」
台湾の次世代を担う若者たちは、どのように感じているのだろうか。 住民自らがニュースなどを発信する独立系のアカウント「セルフメディア」で活動する34歳の男性は、台湾には半導体産業という強みがあるため「台湾は過度に心配する必要はない」と冷静だ。 「台湾にはTSMCをはじめとしたハイテク産業があり、こうした企業はアメリカにも工場を構えている。同時にアメリカの企業もTSMCの半導体にとても依存している。だから、台湾に防衛費増額を要求するなど台湾経済に過度の打撃を与えることはしないはずだ」 一方、台北市内の大学院に通う23歳の女性は「トランプ氏にとって台湾は、中国をけん制するための駒にすぎない」と警戒する。 「(中国との間に)戦争が始まれば、アメリカが助けてくれるという保証はない。台湾は第二のウクライナになるかもしれない」 トランプ氏は「ウクライナでの戦闘を終わらせ、アメリカの多額の軍事・財政支援を終わらせたい」と明言していて、ウクライナ支援に後ろ向きな姿勢を示していた。政権発足後、実際に支援が停止されれば、“有事の際、アメリカは台湾を助けない”という「疑米論」が拡大し、親米路線をとる頼政権に打撃を与える可能性もある。
■「台湾有事」…日本にできることとは
頼総統は就任式当日、演説を終えた直後にも日本からの来賓との昼食会や会談を行うなど、日本に対する期待は大きい。福田教授は日本が、アメリカの台湾やアジアの周辺諸国に対する安全保障上の関与をつなぎ止め続ける役割を果たすことが必要だと話す。 「バイデン政権の政策は同盟国と連携し、台湾問題に対処することを重視していたので、日本はアメリカに要求される枠内で台湾と関わっていればよかった。それがトランプ政権になると、台湾との関わりをより主体的に模索していく必要がある」 日本にとって「台湾有事」は人ごとではない。中国が台湾侵攻に踏み切れば、日本にとって死活的な海上航路となっている台湾周辺の海空域を、中国が封鎖すると想定されている。中国に侵攻を思いとどまらせ続けるには、日本の防衛上の備えと日米同盟の対応能力を高めることが必要になってくる。一方で中国にとって日本は第2の輸出相手国で、人的交流も多い。中国との対話を通じて交渉力を発揮していくことも、日本の果たせる役割なのではないだろうか。