羽生結弦さん 被災地・石川で希望の舞 全身全霊の「春よ、来い」など熱演「この場所から波動として、皆さんのもとへ届け」
フィギュアスケート男子で五輪2連覇で、プロスケーターの羽生結弦さん(29)が15日、石川県金沢市の健民スポレクプラザで開催された能登半島復興支援チャリティー演技会に出演。被災地を思い、「春よ、来い」などを熱演した。無良崇人さん、鈴木明子さん、宮原知子さんとともに、いまだ震災の傷跡の残る中で懸命に日々を生きる能登の若者たちと中継で交流しながら、希望の舞を届けた。現地観覧はなく演技会の模様は映像配信サービス「Lemino」で生配信され、収益が石川県に寄付される。 観客席もない金沢市内のアイスリンク。華美な演出も、きらびやかな照明も、この日だけは必要なかった。「なるべくほとんどのお金を寄付したい」という思いで作り上げた演技会。明るい会場照明だけが均等に照らし出す銀盤の上で羽生結弦は希望の舞を演じた。 人々の背中を押すプログラム「春よ、来い」。クライマックスの回転しながら氷に頬をつけるハイドロブレーディングではより深く、氷に触れているようにも見えた。「この地方としてすごく大きな被害があった。なにか鎮まってほしいなという気持ちもあった」。全身全霊の滑りだった。 会場での観覧はなく、配信のみ。それでも金沢まで赴き、その土地の空気をまとい、演技することに羽生さんのこだわりがあった。「なるべく辛い思いをした方々、いろんなことに悩んでいる方々の近くで滑りたいと思いました。この場所から波動として、ちょっとでも空気が動いて、皆さんのもとへ届け、って」-。 配信は13日時点で1万人以上がチケットを購入した。自身も東日本大震災で被災している羽生さんの思いは形となり、被災地に光を当てる。今後もその名も、実績もすべてを注ぐつもりだ。「いい意味で知名度みたいなものを使って、お金もそうですし注目もそうですし、ちょっとでもちょっとでも力になれれば」。29歳の揺らがぬ思いが能登の地に希望を届けた。