選挙前の株高で「ハリス大統領誕生」の確率は80%以上との見方
10月11日の米株式相場は上昇し、S&P500種株価指数は過去最高値を更新した。米国の主要な株価指数が好調を維持し、景気後退への懸念が払拭されたことで、今年の大統領選挙は、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領に有利という見方が強まった。 11日の市場でS&P500は0.6%高をつけ、史上最高値の5815ポイントで取引を終えた。他の主要な株価指数のダウ平均も1%高で、42864ドルの過去最高値で終了した。 同日の株価の上昇は、JPモルガン・チェース(11日に4%高)やウェルズ・ファーゴ(同6%高)などの銀行大手が発表した第3四半期の利益が予想を上回ったことに後押しされた。JPモルガンの最高財務責任者(CFO)のジェレミー・バーナムは、消費者の支出パターンが「健全な財務状況や力強い労働市場、足元の無着陸(ノーランディング)の経済シナリオと一致している」と述べた。 11月の大統領選が間近に迫る中で、株式市場の動向を基に大統領選挙の結果を予測する、ある指標が注目を集めている。その指標とは、選挙前の3カ月間でS&P500が上昇すると、80%以上の確率で与党候補が勝利するというものだ。 1928年以降のデータを見ると、選挙前の3カ月間にS&P500が上昇した15回の選挙のうちの12回で、与党候補が勝利していた。しかし、S&P500が下落した9回の選挙のうちの8回で与党の候補は敗北しており、この指標の予測の精度は83%とされている。 S&P500は、8月5日以降に12%以上上昇しており、11月5日の投票日までの3カ月間で上昇を続ける可能性が高まっている。8月5日は、景気後退への懸念からS&P500が過去23カ月間で最悪の落ち込みを記録した日で、トランプ前大統領はこの急落を「カマラ・クラッシュ」と呼んでいた。しかし、それ以降に市場は回復した。 ただし、前回の大統領選挙では、この指標の予測は外れていた。2020年の選挙前の3カ月のS&P500は、2.3%上昇していたが、当時の現職大統領のトランプは、民主党の挑戦者だったバイデン大統領に敗れていた。複数の世論調査によれば、有権者は経済に関してハリスよりもトランプを支持していることが示されており、株価が上昇しても、その影響でハリスが追加で得られる支持は限られているかもしれない。 また、ここ最近の選挙のベッティング(賭け)市場ではトランプに有利な傾向が示されており、Kalshi(カルシ)やPolymarket(ポリマーケット)、PredictIt(プレディクトイット)などのプラットフォームは、トランプが勝利する確率を約53%と見積もっている。一方、世論調査の集計サイトのファイブサーティエイトは、ハリスが大統領になる確率を53%としている。 今年の年初から9月までのS&P500のパフォーマンスは、1997年以降で最高で、年初来では23%、過去2年間では66%のリターンを上げている。米国の株式市場は、バイデン政権下でもトランプ政権下でも非常に好調だったが、S&P500のリターンはトランプ政権下で83%、バイデン政権下では59%だった。
Derek Saul