カップ麺市場 価格帯のすき間にチャンス お得なこだわり商品が続々
カップ麺市場では、価格帯のすき間を狙った商品施策が活発になっている。背景には2度の価格改定(22年6月、23年6月)を経て、割安な廉価品(100円前後)から高額な有名店コラボ(300円以上)まで、プライスゾーンが一段と広がった状況がある。大手コンビニは手ごろな価格のこだわり系商品を拡充し、メーカーは低価格志向にもきめ細かく対応する。 ローソンは、プライベートブランド(PB)「エルマルシェ」のカップ麺で新たに「スープ激うま!」シリーズを立ち上げ、10月29日から「激辛味噌ラーメン」と「濃厚豚骨ラーメン」を発売する。スープのおいしさにとことんこだわったことが特長で、有名店コラボなど300円超の高級カップ麺に匹敵するクオリティを目指しながらも、手に取りやすい価格(税込238円)に設定した。カップ麺の高価格帯とレギュラー価格帯の中間に潜在する需要を掘り起こしたい考えだ。 セブン&アイホールディングスは、PB「セブンプレミアム」の「名店ジャンク」シリーズ(税込213円)を拡充。10月8日に第3弾「山頭火豚骨塩ヌードル」を新発売し、第1弾「すみれ味噌ヌードル」、第2弾「一風堂豚骨ヌードル」とあわせ、グループのコンビニやスーパーの店頭で露出を強化している。一般的な名店コラボとは一線を画す“雑うま”でやみつきになる一杯に仕上げ、税別198円の値ごろ感もポイントだ。
メーカーもすき間を狙った施策に動く。インテージSRI+データでカップ麺市場をみると、業態別の食数前年比は4~9月でドラッグストアが前年同期比102.2%と唯一プラスだった。平均単価が比較的低い業態であり、消費者の節約意識が感じ取れる。 明星食品は“五重塔戦略”と銘打ち、消費者ニーズの変化に5層できめ細かく応えられる商品ラインアップを追求する。 「中華三昧」「麺神」などのブランドを最上位の「高級品志向(=プレミアムライン)」に位置付ける一方、価格コンシャスユーザーへの対応も重視し、直近では「超低価格品志向(=スーパーバリューライン)」の「一杯満足」シリーズが好調な売れ行き。商品特長は「ちょうどよいサイズ感とおいしさ、お値打ち価格で満足!」。発売2年目を迎え、ドラッグストアなどカップ麺のPBを持たない企業への導入がさらに進む。価格改定でナショナルブランド(NB)のレギュラー商品が特売でも108~148円などとなった現状、より低価格を重視するニーズに応える。 別のメーカーはミニカップ麺の販促を思案する。価格改定後、ミニはスーパーの店頭売価が118~128円程度に上昇。レギュラーの特売価格と差がなくなり、場合によっては逆転するケースも出てきた。これまでミニカップ麺の販促はあまり行われてこなかったが、「ミニの特売なら98円など二ケタ売価が可能」(メーカー企画)。新たな販売戦略で小容量を好むシニアや女性らの需要開拓が期待できそうだ。