「ネット上に居場所を求めてもいい」マキシマム ザ ホルモン ナヲがいじめ経験から考えた“ママ友との付き合い方”
ネットのママ友も大切な存在――相談しやすい相手に心を開けばいい
――ナヲさんがママ友と付き合う上で心がけていることを教えてください。 ナヲ: とにかく対話が大事かなと思っていて、なるべく話すようにしています。どうでもいいことも、保育園や学校の行事に絡めてLINEやメールをしたり、お互いに話しやすい環境を作れたらいいなと思って連絡しています。自分がわかっていて解決していることも、「保育園の明日の持ち物、これでいいんだよね?」などと、あえてグループLINEにメッセージを入れて、かき混ぜるようにしていますね。一部の方には「うるさいな」と思われているかもしれないんですけど(笑)。 あとは、改まって「親睦を深めましょう」と誘うと断られやすいので、「夕飯サボりません?」みたいに誘うようにしています。「急だけど、どう?」という感じで。前もって「この日どうですか」と誘うと、「わかりません」という返答になってしまうんですけど、保育園のお迎えの時とか保護者会の後とかに「今日ご飯用意してる? してない? 夕飯作るのをサボってご飯食べに行きません?」みたいな感じで誘うと、結構みんな来てくれて、そこから仲良くなれたりしました。よそよそしく「お忙しいと思いますが」とか言っちゃうと、なんかそのままの関係で終わる気がしています。 子どもたちを遊ばせる時も、なるべく向こうの親御さんにフランクな声掛けをしています。例えば「お疲れー! 今日天気いいから○○公園へ行こうと思うんだけど、うちの娘が○○ちゃんと遊びたいって言ってるから一緒にどうかな?」と聞くと、向こうも気さくな感じで返してくれることが多いですね。 ――ナヲさんは子どもの頃にいじめを経験したとうかがいましたが、その時の教訓を子育てやママ友作りに生かしている点もあるのでしょうか? ナヲ: いじめられた経験があるからかもしれませんが、ママ友に関しても「このコミュニティでしか生きていけない」という状況を作らないように意識しています。例えば、長女と次女それぞれの保育園や小学校のママ友、私の地元の友達のグループ、音楽関係の友達のグループなど、いくつものママ友コミュニティに参加しています。私だけでなく、子どもがどこかのコミュニティで苦しくなっても、逃げられるようにしています。 同じような経緯で、身分を隠してTwitterで別のアカウントを作り、これまで関わりのなかった見知らぬママたちとも交流をしていました。顔が見えないSNSの付き合いって怖いじゃないですか。顔が見えないからこそ攻撃的になったりするイメージだったんですけど、逆に顔が見えないからこそすごく優しくなれて、寄り添ってもらえたし、私自身も相手に寄り添えた気がします。始めてみたら、気持ち的にすごく温かくなれたんです。その後、オフ会として実際会ってより仲良くなれたり。不思議なんですけど、前から知っている仲間みたいに話せるんですよね。お互いアカウント名で呼び合うので笑っちゃいますけど。SNSでこういう出会いができた私は恵まれていたのだと思いますが、リアルだけではなくネット上に居場所を求めてもいいのだと思います。 家族に言えないことを友達に話したり、友達に言えないことを家族に話したり、リアルの友達に言えないことをネットの友達に話すなど、それぞれ相談しやすい相手に心を開けばいい。子育てをしていると大変なこともありますが、いろいろな人に相談したり相談されたりしながら、思いつめず楽しく、前向きに生きていけたらいいですよね。 ----- マキシマム ザ ホルモン ナヲ 1975年生まれ。1998年八王子にて結成。ドラムと女声と姉を担当。2013年発売のアルバム「予襲復讐」はオリコンアルバムチャート3週連続1位を獲得し、リリースした作品はトータル220万枚を超えるセールスを記録。国内の音楽フェスにおいては最大の動員を誇り、海外での大型フェス出演やニューヨークをはじめ、ヨーロッパ・南米各地での単独公演をソールドアウトさせるなど国内外からの評価も高い。2022年6月にはフランス最大のメタルフェス「HELLFEST 2022」のメインステージ出演を含む、4都市5公演のヨーロッパツアーを開催した。アニメ「チェンソーマン」の挿入歌/エンディング・テーマとして起用された楽曲「刃渡り2億センチ」も動画公開半年足らずで2000万再生超えとなり話題となっている。私生活では、2008年12月に結婚し、2児の母。 文:中森りほ 制作協力:BitStar