「あの頃のままだったらゾッとする」高校中退芸人 TKO木下が語るネガティブを変換する理由
2020年に所属事務所を退所し、現在はフリーで活動をしているお笑いコンビTKOの木下隆行さん。幼少期は、引っ越しが多く経済的に苦しい生活を送っていたが、大阪で高校に進学後、1年生で留年したのち、2年目で高校を中退。その後、お笑い芸人となり、度重なる逆境を乗り越えてきた木下さんが最も大切にしていたのは、明石家さんまさんの「チョイスはおもろい方」という言葉だったと語る。木下さんに、つらい経験を前向きな力に変えるコツを聞いた。(取材:たかまつなな/笑下村塾/Yahoo!ニュース Voice)
家族で夜逃げ、引っ越しは10回以上…「飽き性」な性格に
――高校1年生で中退されたそうですが、学生生活に不満があったんですか? TKO木下: 不満って別にないんですよ。僕ね、4人きょうだいの末っ子なんですけど、子どものときに家族で夜逃げをしまくるという生活でした。お父さん、お母さんといろんなところを転々として、学生生活で11回引っ越ししているんですよ。だからというわけじゃないけど、飽き性というか、何をするにもサイクルがすごく早い人になってしまって、長く同じ環境に居続けられなくなってしまったんだと思います。 高校に入って1年の間にクラブ活動も5個変えてます。遊ぶのが楽しかったので、高校1年生でダブってるんです。留年してもう一回高校1年生をやるんですけど、それも恥ずかしいとかではなく、これも新しい人生、面白そうみたいな。思春期で血気盛んなので、恋愛もいろいろしました。それで、高校生活も飽きちゃったって感じなんですよ。高校を辞めてもそんなに自分の人生は狂わんやろうと。楽しい方に行って、ふわっと辞めてる感じ。 今思えば、思うところはありますよ。でもそのときって目の前が全てやから、また新しいことを始めようってホストクラブに行くんですよ、16歳で。もちろんお酒は飲まないですが、バーとかディスコの従業員とか、目の前の楽しいことに走って向かっていくような感じでしたね。 ――そもそもどうして留年したんですか? TKO木下: ほんまにクズみたいなこと言いますけどね、毎日遅刻してたんですよ。そりゃ留年するよね。学校には友達いるし、恋愛もしてるし、クラブ活動も、さっき言ったように5個変えてるからいろいろ楽しいんだけど、ただ、朝起きるのが苦手で。それが留年の理由だと思います。 ――中退して良かったことってありますか? TKO木下: お金ですね。自分で稼ぐ喜びもそうですし、出会いもそうやし。たぶん学校にいるより社会に出た方が、大人になるスピードが絶対に速いと思うので。空気を読むとか、人に対する思いやりを持つとか、言葉づかいとか、得たものは多かったと思います。 ――逆に、中退して困ったことはどんなことですか? TKO木下: 今思えばいっぱいあります。修学旅行に行きたかったなとか。こういうトークテーマとかで修学旅行の話になるじゃないですか。あと、バレンタインの日の下駄箱のドキドキとか、ああいうのって楽しいんでしょう? ザ・青春みたいなこと、僕ないもんね。 クラブも5個変えてしまっているんで、野球に打ち込んで甲子園に行くぞとか、サッカーで全国大会に出るぞとか、めちゃくちゃうらやましいなと思います。僕は広く浅くなんで、得たものもあるけど失ったものも大きいなと思います。