令和7年度予算案閣議決定 総額115・5兆円で過去最大 物価高で税収も
政府は27日、令和7年度予算案を閣議決定した。一般会計総額は6年度当初予算比2兆9698億円増の115兆5415億円となり、過去最大を更新。防衛費や社会保障費が膨らみ、2年ぶりに増額に転じた。税収も過去最大を見込むものの、巨額歳出に伴う財源の不足は新たな国債発行で賄うこととなり、借金頼みの厳しい財政運営からは抜け出せていない。 支出に当たる歳出では、医療や介護などに使う社会保障費が最も多く、5585億円増の38兆2778億円。少子高齢化の進展に伴って費用がかさみ、過去最大となった。借金返済や利払いに充てる国債費は、金利の上昇基調を反映し、1兆2089億円増の28兆2179億円となった。 防衛費は前年度比7498億円増の8兆4748億円。防衛力強化のための長射程ミサイル取得費などを計上したほか、自衛官の処遇改善に4097億円を充てる。 石破茂政権肝入りの政策にも重点的に予算を配分する。地方創生交付金は2千億円に倍増させたほか、「防災庁」設置に向けた体制整備の予算も大幅に拡充した。 政府は経済財政運営の指針「骨太の方針」で、新型コロナウイルス禍で膨張した歳出を「平時に戻していく」との方針を示し、6年度は歳出総額を12年ぶりに減らしたが、再び増額に転じて過去最大規模となる。 一方、収入に当たる歳入では、税収が8兆8320億円増の78兆4400億円と当初予算ベースで過去最大を見込む。堅調な企業業績による法人税増収の期待や、6年に実施した定額減税がないことも押し上げ要因となる。税収増に伴い、新規発行の国債は28兆6490億円と17年ぶりに30兆円を下回る。それでも歳入の4分の1を国債が占め、巨額借金に依存する状況は改善していない。 政府は7年度予算案を年明けの通常国会に提出する。先の衆院選で過半数割れした与党は、野党の協力を得て来年3月中の成立を目指すが、協議の行方次第では予算案の修正を迫られる可能性もある。