虎の強さは本物か?球界大御所が見た矢野阪神の評価とは…「佐藤効果でベンチの雰囲気が変わった」と異例の絶賛
広岡氏らしい辛口の論評だが、ここまでの阪神の戦いは評価している。 「阪神の投手力は認めたい。4勝のガンケルは安定しているし、後ろがいい。岩貞、岩崎、スアレスの3人には安心感がある。藤浪は、まだ信用できないし、あのどこにいくかわからないようなピッチングだと野手が予測して動くこともできず守りにくい。それでも球威だけはたいしたもんだ」 そして人を褒めることの少ない広岡氏が珍しく絶賛するのがルーキーの佐藤だ。 「私は今の阪神打線の好調理由は佐藤の効果だと思っている。体が強く、遠くへ打球を飛ばす能力には生まれ持ったものがあり、あれを見せられている他の選手は、間違いなく“こいつは凄い”と刺激を受けているはず。そして彼は意気揚々とプレーしているから阪神のベンチの雰囲気が変わった」 佐藤は19試合中18試合に「6番・ライト」でスタメン出場し、セで3位タイにつける5本塁打をマークしている。9日に横浜スタジアムで打った右中間超えの特大の場外アーチは球界に衝撃を与えた。打率は.214で、三振「30」は、2位の横浜DeNA牧の「22」を断トツで上回るリーグワーストだが、三振しても物怖じすることなく、フルスイングを続ける姿を広岡氏は評価。そのポテンシャルを高く買っている。 「打撃フォームに問題があり、三振が多いが、今はそれでいい。フルスイングを続ければいい。一流の投手の攻めには苦労しているが広島の森下のカーブを狙い打つ(14日の甲子園)など甘いボールは逃さない。今年最低でも20本は打つと見ている。将来はクリーンナップを打てる選手だ」 広岡氏は今季20本塁打をマークすると大胆に予告した。 「ヤクルトはピッチャーがいない。中日も選手が揃わず点が取れない。全体的に野球のレベルが低いと感じる。広島はピッチャーがいいが、大瀬良が離脱したし、ここも点が取れない。今は最下位に低迷しているが、横浜DeNAは外国人2人が揃った。浮上する可能性はあるとすれば横浜DeNAだろうが、ピッチャーは苦しい。こういう他球団の弱さを見ると必然的に巨人と阪神の戦いになる。私は巨人が勝たなきゃいけないシーズンだし最終的には勝つと考えている」 広岡氏が注目している阪神と巨人は、今日から”4月の首位攻防戦”として東京ドームで激突する。阪神の強さが試されるカードだ。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)