年末恒例の「余り予算の消化」でも、 パフォーマンス 重視の傾向が高まる
パフォーマンス重視へシフト
だが、最近では土壇場の依頼でも、マーケターは予算を使い切るだけでなく、その支出を正当化する方法を見つけ出すことを重視するようになった。「今では、売上目標の達成を可能にする使い方をしてほしいとの依頼が、土壇場で寄せられるようになっている」。 広告エージェンシーのケプラーグループ(Kepler Group)でクライアントソリューション担当アソシエイトバイスプレジデントを務めるザック・リッキウティ氏も同じ意見だ。「(私の)キャリアの初期には、そのような依頼は日常茶飯事だった」と同氏は言う。 「四半期の終わりになるとクライアントがやって来て、『100万ドルあるのだが、四半期はあと3日しかない。この予算を今使わなければ失われてしまう』というのだ。だが、今ではそんなことはまずない。少なくとも、(中略)今年に限ってはまったくなかった」。 以前より説明責任を果たせる余り予算の消化例としては、クリエイターアフィリエイトの有効化や、「Amazon DSP」でのチャネルの拡大、それにコストコ(Costco)などのリテールメディアチャネルのテストなどが挙げられる。この年末には、バイヤーが土壇場の支出に関して、マーケターにこのような提案をしているかもしれない。 匿名を希望した最初の広告バイヤーによれば、今年の年末は、マーケターがこれまで以上にパフォーマンスを重視する方向に傾き、「パフォーマンスマシンを強化」する方法を考え出そうとしているという。また、クリエイティブ性の高いアイデアであっても、確実にパフォーマンスを向上させ、簡単に実行できることを証明するアクティベーションチェックリストの要件を満たさなければ、却下されることが増えたという。
広告費の最適化と計画の重要性
チェックリストに含まれていた質問は、「この予算を必要な期間内に消化できるか」、「そのアイデアを実現するのに必要な資産はあるか」、「クリエイティブチームやクライアントチームの追加承認は必要になるか」といったものだったと、このバイヤーは述べている。 マーケターは広告費を使ってアクションを促したいと考えているため、広告バイヤーに対して「新しいことを試してみよう」というより、「過去に実績を上げ、確信を持てるものを優先しよう」と持ちかけるだろうと、広告エージェンシーのVMLで最高メディア責任者を務めるジェニファー・コール氏は話す。「必ずしも、まったく新しいパートナーやまったく新しいメディアチャネルを使う必要はない」。 とはいえ、エージェンシーにとって、第4四半期はただでさえストレスの多い時期だ。土壇場で広告費の使い道を見つけるだけでなく、売上目標を素早く達成するアイデアを考えてほしいとの要請は新たなストレスとなり、厄介な仕事になる可能性がある。 「全体として、クライアントは(広告支出に関して)かなり保守的になっている」と、匿名を希望した2人目の広告バイヤーは語った。 この状況は来年も続く可能性が高いが、メディアバイヤーは、マーケターが早めに計画を立て、予算が余った場合の緊急対応プランを用意し、迅速な対応や調整ができるようにすることを期待している。そのような取り組みを土壇場に行うのはとりわけ困難なため、予算が余った場合に備えてあらかじめ計画を立てておくのがもっとも効果的なアプローチだというのが、バイヤーらの意見だった。 [原文:Marketing Briefing: Why marketers aren’t focused solely on ‘use it or lose it’ spending in Q4 anymore] Kristina Monllos(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:坂本凪沙) 執筆協力:Sam Bradley
編集部