人間を襲って海に引きずり込むこともある「海のヒョウ」、唯一恒温動物を狩る海の哺乳類
極寒の南極や亜南極水域に生息、体長は3~3.5mで体重は最大400kg前後
ヒョウアザラシという名前はその黒い斑点のある体毛に由来している。体色は灰色だが、その模様は大型ネコ科動物のヒョウを思わせる。そのため「海のヒョウ」とも呼ばれるが、その類似点は体毛だけではない。ヒョウアザラシは、ヒョウと同じように、獰猛な捕食動物だ。アザラシ科の中で最も恐るべきハンターであり、唯一、恒温動物(気温や水温にかかわらず体温を一定に保つことのできる動物)も捕食する。その強靭なアゴと鋭くとがった長い歯を使って、魚やイカを捕えるだけでなく、小型のアザラシを切り裂き、人間を襲って海に引きずり込むこともある。 【動画】ヒョウアザラシの水中バトル、衝撃の映像 このしなやかな捕食動物は、ペンギンを捕らえることのできる極寒の南極や亜南極水域に生息している。しばしば、氷と海の境目近くの海中にひそみ、氷の上から飛び込んできた瞬間の鳥を襲ったり、水面に浮かんでいる海鳥を強力なアゴで下からかみついて捕らえる。また、甲殻類もヒョウアザラシにとっては重要なエサだ。 耳はなく、3~3.5メートルほどの長い胴体と細長く大きな頭部を持つ。ほかのアザラシと同様、分厚い脂肪層によって冷たい海水から体を保護している。ヒョウアザラシのヒョウ柄の体毛は、近縁種であるオットセイのように、毛皮を目的とした商業捕獲の対象とはなっていない。
ナショナル ジオグラフィック 日本版編集部