UACJと米アルミ二次合金のTAP、米国でアルミドロス処理合弁。57億円投じリサイクル工場建設
UACJが米国でアルミリサイクル事業を本格化する。UACJの米子会社トライアローズ・アルミナム(TAA)が、米国でアルミ二次合金事業を手掛けるテネシー・アルミナム・プロセッサーズ(TAP)と共同で折半出資のアルミドロス処理合弁「ケンタッキー・アルミナム・プロセッサーズ」(KAP)を設立し、4千万ドル(約56億8千万円)を投じてリサイクル処理工場を建設する。 ケンタッキー州経済開発金融公社が9日、新工場の着工式を開催したと発表した。式典にはケンタッキー州のベシア知事のほか、TAAのヘンリー・ゴーディナーCEO、TAPのジャレッド・スウィーニーCEOらが出席した。TAAのゴーディナーCEOは「TAPとプロジェクトを共有できることをうれしく思う。敷地選定に当たってはローガン工場に近いことが重要な要素だった」と述べた。 KAPは、ウェストインダストリアルパーク内の37エーカーの敷地に工場建屋などを建設するアルミドロス合弁。出資比率はそれぞれ50%。TAAがノベリスと共同運営するローガン工場の鋳造センターで発生するアルミドロス・リサイクル原料などを再生処理し、再びTAAの鋳造・リサイクル施設で活用するプロジェクト。投資額は4千万ドル。 アルミドロスはアルミの溶解・精製工程での溶湯が空気と触れる表面に発生する残渣(ざんさ)。アルミ成分を60~80%含んでいるが不純物も多いため、再利用には不純物を除去する必要がある。TAPはアルミスクラップとドロスのリサイクラーで、40年以上の歴史がある。UACJは同社と連携して不純物除去などの工程に共同で取り組む。 UACJは2027年度までの中期経営計画で、リサイクルビジネスの強化を掲げている。すでに使用済みアルミ缶(UBC)のリサイクル能力を日米タイで増強しているが、今回の投資もその取り組みの一環。リサイクル可能な資源を可能な限り再利用できる体制を構築することで、環境負荷軽減に寄与する方針だ。