「かかりつけ医」を持つメリットは?「リフィル処方箋」って何? 適切な“医療機関のかかり方”を専門家が解説!
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。 11月24日(日)の放送テーマは、「みんなで医療を考える。上手な医療のかかり方とリフィル処方箋」。厚生労働省 保険局 医療課 課長補佐の矢野好輝(やの・よしてる)さんから、かかりつけ医の重要性やリフィル処方箋について伺いました。
◆医師の働き方改革
日本では、いつどこにいても必要な医療が受けられますが、医師の長時間労働によって支えられてきた側面もあります。2022年の調査結果によると、週60時間以上働いている医師の割合は約21%でした。さらに、日本は今後ますます高齢者の数が増えて医療の需要が高まり、医師個人の負担が増えると予想されています。 このまま医師に負担をかけ続けると、最悪の場合、重大な医療事故につながる可能性があり、今と同じ医療サービスを受けられない可能性があるとも言われています。 とはいえ、近年は医師の働き方改革が進められ、2024年4月1日からは医師の時間外労働の上限規制が適用され、年間の時間外労働の上限が960時間以内、月あたり100時間未満に法律で設定されました。地域医療を担う病院の勤務医の場合は、例外的に2035年度末まで年1,860時間となります。 一般的な残業時間の上限は原則年360時間、雇用主と労働者の間で合意がある場合に限り年720時間になりますが、医師には特別な上限が設けられており、今もなお長時間労働解消の課題は残っています。医師の業務負担の改善には、法律だけでなく、私たちの医療のかかり方も見つめ直す必要があります。
◆状態に応じた適切な医療機関選びが重要
一口に医療機関と言っても、その規模や医療設備はさまざまです。基本的に、診療所やクリニックでは日常的な病気やケガの治療をおこない、中小病院は手術や入院、救急医療が必要な患者に医療を提供します。重傷の救急患者や高度な医療を必要とする場合は、大学病院などの大病院です。医療機能に応じた役割分担をし、連携して地域の医療を支えています。 しかし、なかには「“なんとなく”大きい病院のほうが安心する」などの理由で大病院を受診したり、急を要しない軽症にもかかわらず、「平日の昼に行く時間がない」「夜間のほうが空いている」などの理由で、夜間や休日に地域の病院や大病院の救急外来を受診したりする人も少なくありません。 矢野さんは、そのような医療機関のかかり方だと、患者と医療機関双方にデメリットがあると言い、「大病院や夜間・休日の救急外来に患者さんが集中すると、診察までの待ち時間が長くなる場合があります。また、紹介状なしで大病院を受診すると、治療費以外にも費用がかかるため、自己負担額が増加する場合があります」と説明。 紹介状なしで大病院を受診すると、初診の場合は7,000円以上、再診の場合でも3,000円以上の特別料金がかかります。この特別料金は健康保険が適用されないため、患者の全額自己負担となります。 また、患者が集中すると一人あたりの診察時間が短くなり、医師から丁寧な説明が受けられなくなる可能性があります。さらには、救急外来に軽症の患者が多く利用してしまうと、緊急性のある患者の受け入れ対応ができなくなってしまうリスクが考えられます。 夜間や休日に患者が集中すれば、それだけ医師の長時間労働にもつながり、疲労によって医療の質や安全が損なわれる恐れがあります。いきなり大病院にかかることや不要不急な時間外診療を控えて、医師の負担軽減に協力しましょう。