NVIDIAも焦点当てる「エージェントAI」、すでに「前例ない」レベルで利益を生み出すほどの影響力
エンタープライズデータ運用に進出するエージェントAI、Altimate AIの挑戦
エージェントAIの応用領域は、企業のデータオペレーションにも広がりを見せている。サンフランシスコを拠点とするスタートアップAltimate AIは、エージェントAIの概念と能力を企業のデータ運用に適用する「DataMates」技術を発表。データドキュメンテーションからパフォーマンス最適化まで、幅広いタスクを自動化・加速化するAIエージェントシステムだ。 2022年に設立されたAltimate AIは、シスコの元CEOであるジョン・チェンバース氏が率いるJC2 Venturesからの支援を受けている。同社はすでにデータ自動化機能を提供する「DataPilot」プラットフォームを市場に投入しており、新たなDataMatesサービスはこのDataPilotの統合機能として、AIエージェントによるデータオペレーションの加速を実現する。 DataMatesシステムは、複数の言語モデル、関数呼び出しメカニズム、カスタムビルトの知識グラフを組み合わせた独自のフレームワーク上に構築されている。これにより、データモデルの作成、自動ドキュメンテーション、テスト生成と実行、コードレビューと最適化、パフォーマンス分析とチューニングなど、幅広いタスクを実行できる。VS Code、Git、Slackなど、データチームが日常的に使用するツールとも統合されている。 さらにAltimate AIは、アンビエントAI(Ambient AI)と呼ばれる層を統合。これは継続的なインテリジェント監視システムとして機能し、データインフラストラクチャを分析してデータチームに事前対策的な提案を行う仕組みだ。データチームが手動で介入する必要性を最小限に抑えながら、インサイトと推奨事項を提供することで、チームがより高度なタスクに集中できる環境の実現を目指す。 エージェントAIをめぐっては、OpenAI、Anthropic、グーグル、マイクロソフト、メタなども取り組みを拡大している。NVIDIAは、2030年までに社員(現在約3万人)を5万人に拡大しつつ、1億人分のAIエージェントを構築する計画だ。エージェントAIをめぐる動きは、今後さらに活発化することが見込まれる。
文:細谷元(Livit)