MakerDAOをスクラップにした理由、創設者ルーン・クリステンセン氏が自ら説明【インタビュー】
「エンドゲーム」に対する抵抗と実施の理由
──なぜベンチャーキャピタル(VC)は連携してエンドゲームに反対票を投じたのか、その理由について思い当たることは? すべてのVCがそうだったわけではない。著名な3社だったと思う。その時点では、他のみんなと同じように大きく失望していたのだろう。大いに成長していたのに、突然収益をすべて失い、信じられないほどの出費を抱えていたから。 そして、彼らからすれば、「エンドゲーム」は絶望的な夢物語に見えたのだろう。すでに状況は悪化しており、失敗すれば保有しているトークンは完全に価値を失ってしまうと思えたのだろう。そして、反対票を投じた後、保有しているMKRをすべて売却した。不運なことに、底値で売却してしまった。 その後、新世代のヘッジファンドやVCが参入し、売却されたMKRを買い集めた。彼らはエンドゲームに非常に興奮していて、素晴らしいアイデアと考え、買いに走った。そして、これが望まれた姿であり、MKRが役割を果たした瞬間だった。つまり、投票者たちの足並みが揃っていたからだ。 ──エンドゲームが必要だと考え始めたのはいつ頃か? 今話したような政治的な問題からきている。予算だ。何が起きているのかを目の当たりにして、そこから推測すると、はるかに悪い事態が起こり、プロジェクトが終わってしまうと気づいた。そこで、正しい知識を持ち、正しい方向性、正しいモメンタムを設定できるように、新しくスタートする方法として、サブDAOのアイデアが生まれた。 ただ人々をDAOに入れて、自由市場に物事を任せることはできない。データを提供し、フレームワークを提供し、相互作用のある正しい方向に進むためのツールを提供しなければならない。それでも失敗することはある。それがもうひとつのポイントで、特定の分野に特化したコミュニティが、より合理的になるための再出発となる。 SparkはDeFiイノベーションに特化したサブDAO。その他にも、ゲームや例えば、潜在的なユーザーに利回りを獲得する手段として機能するなど、金融包摂に関連するサブDAOがある。潜在的ユーザーとは、先進的な暗号資産プロダクトを見たことがない大勢の暗号資産ユーザー層のことだ。 このように、特定の方向性を信じる人々が率いる、特定の方向性を持った新しいコミュニティに賭けることができる。もうひとつの大きな特徴は、失敗が許されること。サブDAOが失敗しても、全体的なダメージにならないよう設計されている。 最後のポイントは、どうすれば成長を本当に軌道に乗せることができるかだ。というのも、DAIは暗号資産ネイティブにしか受け入れられなかった。ブランディングも、行き当たりばったりだった。 だからエンドゲームでは、リブランディングでその問題を解決しようとしている。我々の切り札は分散化。サブDAOは、新しい優れたブランドの新しいステーブルコイン保有者に利回りを提供するトークンによって、普及のためのファネル(経路)として機能する。 まったく同じ資産だが、唯一の問題は、DAI Savings Rate(DSR)の利回りをどうやって得るかだ。イールドファーミングが基本的にリスクフリーだった「DeFiの夏」に似ている。 つまり、成長、興奮、経験を得るための方法であり、成長するにつれてレジリエンスを維持し、人々がお金を失うことがないようにする方法だ。だからこそ、成長を推進し、普及を促進できる。 ──最も重要なDeFiプロジェクトのひとつを率いるストレスに、どのように対処しているか? これまでにどう対処したかを説明することは難しい。本当にクレイジーな状況だった。暗号資産の初期は本当に常軌を逸していた。非現実的な状況、クレイジーなドラマ、クレイジーな個性、たくさんの有毒さ。 私がそれに対処した主な方法は、我々が作ろうとしていたものを改善し、人々の役に立つものにすることに注力したことだった。状況は徐々に良くなっていった。 巨大な変化であるエンドゲームへの対処でさえ、メーカーの初期に比べれば大したことではない。 ──MMORPG(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロールプレイングゲーム:大量のプレイヤーが同時に参加できるオンラインゲーム)を作ることはまだ考えているか? 実は、メーカー財団が解散した頃に設立したMMORPGを作っているゲーム会社がある。