【高校ラグビー】日本航空石川「AS ONE 輪島」で奮闘 元日目前敗退も「思い届いたかな」
<全国高校ラグビー大会:国学院久我山32-5日本航空石川>◇2回戦◇30日◇大阪・花園ラグビー場 日本航空石川が2大会ぶり44度目出場のBシード国学院久我山(東京第2)に敗れた。 前半6分にセットプレーから先制トライを許し、中盤で0-12と主導権をつかまれかけたが、前半19分にモールで押し、NO8カイアヌアヌ・セニセニ(3年)がトライ。7点差に迫り、その後も有利な展開を作ったが、後半は終始、国学院久我山ペースで無得点に終わった。 先発メンバーで唯一、石川県の中学から入学した主将のCTB上野魁心(かいしん=3年)は「点差をつけられたが、(気持ちを)切らすことなく最後まで攻めようという気持ちが全員にあったのでよかった」と振り返った。 前回大会中の1月1日に能登半島地震が起きた。左手首のテープに「AS ONE 輪島」と書いて戦った。「輪島とともにという思いが込められた1年間のスローガンなのでテープに書いてつけていました」。目標としていた、1度目の地震が起きてから1年後の来年1月1日に行われる3回戦進出はかなわなかった。「1月1日に試合はできなかったんですけど、思いは届いたかなと思うので、自分でも満足しています」と胸を張った。 石川・輪島市にある同校も大きな被害を受け、現在は東京・青梅市に拠点を置いている。「震災が起きた時はここまで花園でできると思っていなかったので、こうやってできることに感謝したい」と力を込めた。 「春から3カ月程度、なかなかずっと全員で過ごすことができなくて、チーム作りは大変だったんですけど、全員が1人1人、輪島のためにやらなければいけないという責任感があったので、すごくいいチームだった」 主将を務めた約1年間の苦労は大きかったが「1年間乗り越えられてきた、自分の中に自分の身に染みている経験を生かして将来頑張っていきたい」と話した。卒業後は進学予定。ラグビーにひと区切りつけて、航空整備士を目指す。「どのような仕事でも、こういう責任感は伴うと思うので、培った責任感をしっかり自覚してやっていきたい」と決意した。 後輩には「ここ数年、1月1日を、(花園で)迎えられてないので、後輩たちにはこの悔しさを生かして1月1日を迎えてほしい」と夢を託した。 石川・輪島市で暮らす先生や生徒らから激励のメッセージももらっていた。「東京と輪島でなかなか会えない中ですけど、そこでもやっぱり同じ航空として戦えていることを全員が感じて、すごく勇気をもらった」と感謝した。【塚本光】