AIを使ってカーリングに勝つ! 目指すは平昌五輪のメダル獲得
災害時の最適避難誘導システムなどへも応用可能
2015年度からは、ロボット分野や情報システム工学などに取り組む他大学の研究者らとカーリングそのものの共同研究を開始。同研究チームは、カーリング日本代表チームを科学的なアプローチでサポートし、2018年平昌五輪でのメダル獲得、その次の五輪での金メダル獲得に貢献することを目指している。 スポーツに限らず、戦略支援システムは他分野への応用も期待できるという。「たとえば、株式市場の動向や天候予測など不確定要素を含む分野。災害時の人々の行動を予測して最適な避難誘導を実現したり、事故発生時にリスクを極力回避するためのシステムにも応用が可能だと思われます」と伊藤助教は可能性を語る。 一方で、「AIが人間の仕事を奪うかどうか」が議論されることが多くなった。新しい技術が登場した時、ある仕事が淘汰されるのよくあることだ。カーリング戦略支援システムが完成した場合も、戦略の立案を担当してきたスタッフの仕事はなくなるのだろうか。 これに対し、伊藤助教は「AIが予測する戦略を理解し、どのように生かすかは人間の仕事」として、戦略に携わる人間の仕事はなくならないとの見方を示す。あくまでも、同システムは最適な戦略を提案するだけで、生かすのも無駄にするのも人間次第ということなのだろう。 平昌五輪まであと2年を切った。伊藤助教は、敵味方の石が混在する局面をモニタ上にすばやく再現し、次の石をどこに投げればよいかを予測する「局面エディット機能」を、2016年度中に完成させるといい、システム完成に向けた取り組みに力を注ぐ。 (取材・文:具志堅浩二)