医師から指示されてスポーツジムに通っていますが、医療費控除の対象になりますか?
コロナ禍が明けて、スポーツジムの利用者が再び増えてきています。利用者のなかには、医師の指導により利用している人もいるでしょう。 そういった方は、スポーツジムの利用料も医療費控除の対象になることをご存じでしょうか。厚生労働省の定めた基準をクリアしていれば、医療費控除の対象となり、税金の軽減が可能です。 本記事では、スポーツジムの利用料が医療費控除の対象となるための3つの条件について、詳しく解説します。自分がスポーツジムを利用する際に、医療費控除の対象となるかどうかを判断するためにも参考にしてください。
医療費控除とは
医療費控除は所得控除の一種で、本人や扶養家族が支払った年間の医療費が一定額を超える場合、超過分の医療費が課税所得から差し引かれる仕組みです。対象となる費用には、診療費や治療費、入院費、通院にかかる交通費、出産費用などが含まれます。 医療費控除の金額については、以下のとおりです。 ・その年の総所得が200万円以上の場合 1年間に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額-10万円 ・その年の総所得が200万円未満の場合 1年間に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額-総所得の5% 控除額の上限は、200万円です。医療費控除を利用することで、税金の負担を軽減できます。
スポーツジムの利用料が医療費控除の対象となるための条件
スポーツジムの利用料が医療費控除の対象となるためには、厚生労働省の「健康増進施設認定制度」で定められた3つの条件をすべて満たしている必要があります。自己判断でスポーツジムに通うなど、条件を満たしていない場合は、医療費控除の対象とはなりません。 本項では、スポーツジムの利用料が医療費控除の対象となるためには必要な3つの条件について説明します。 ■厚生労働大臣認定健康増進施設である スポーツジムの利用料が医療費控除の対象となるには、厚生労働省の「健康増進施設認定制度」で指定された施設を利用する必要があります。対象となる施設は、以下のとおりです。 ・運動型健康増進施設(指定運動療法施設) トレーニングジムなどのこと。運動型健康増進施設のうち「指定運動療法施設」の指定を受けた施設が医療費控除の対象となります。該当施設は、2023年11月7日時点で346施設です。 ・温泉利用型健康増進施設 温泉利用と運動利用を兼ね備えた施設などのこと。医療費控除の対象となり、該当施設は2023年11月7日時点で18施設です。 ■「運動療法処方せん」と「運動療法実施証明書」が必要 医療費控除は、高血圧、高脂血病、糖尿病、虚血性心疾患などの疾病があり、医師の運動療法処方せんにもとづく運動療法にかかる費用が医療費控除の対象となります。 医療費控除を受けるには、まず、医師の「運動療法処方せん」が必要です。スポーツクラブに処方せんを持参して「運動療法実施証明書」を発行してもらい、再度医師に証明書の内容を確認してもらい、確定申告時に提出するという流れです。 そのため、医師の運動療法処方せんがなく、自発的な理由でスポーツジムを利用する場合、その料金は医療費控除の対象外となりますので、ご注意ください。 ■週1回以上8週間以上通っている 医療費控除を受けるには、上述の厚生労働省の「健康増進施設認定制度」で指定された施設で、医師の運動療法処方せんにもとづく運動療法を、週1回以上の頻度で8週間以上継続して実施している必要があります。スポーツジムに通う頻度がこれ以下の場合は、医療費控除の対象とはならない可能性があるため、ご注意ください。