「ミニ」と過ごした日々のこと。くっついたり離れたり。それでも忘れられない永遠の恋人!?
2台のミニとの生活は楽しかった! 一点だけ気に入らなかったのは静粛性。特に、僕は長距離/長時間の移動が多かったので、仕事で疲れた帰路の長距離はキツかった。 そんなことで、長距離移動用として、アウディQ3クアトロ スポーツラインを買い足したのだが、期待に応えてくれた。この3台体制は文句なしだった。 でも、多くの仕事を引き受けるのは75歳までと決めていたので、そのタイミングで3台は手放し、ゴルフGTI、1台に絞った。これは計画通りだった。 多くのクルマを取っ替え引っ替え乗り換えてきたので、「最高のお気に入りだった2台の特別仕様ミニ」を手放す時も、とくに感傷的にはならなかった。 、、ところが、数年経った辺りから、僕のと同じ色のクーパーS ハイゲートに出会うと、妙に心がざわめき出した。すごくカッコよく見えたし、すごく大人の粋を感じた。 自分で持っていた時も同様に思っていた、、のだが、それよりずっと魅力的に見え、ずっと心惹かれるものを感じるようになったのだ。そんな気持ちは今も続いている。
そして、唯一のネガだった騒音を軽減するための手立てを調べたりもしだした。その結果、専門の工房にでも任せれば、かなり静粛性は引き上げられる可能性がありそうだということもわかった。 所有していた時は、「もっと静かになればなぁ」と、ただ不満を抱いていただけなのに。 とはいっても、家内共々、お気に入りのプジョー e208GT LINEを手放す気は毛頭ないし、今更、1台増やす気もない。 なので、現在のクーパーS ハイゲートは、あくまで、仕事机の上の写真を眺めつつ、あれこれ妄想を膨らませながら楽しむ対象にすぎない。 もし、これが10~15年前のことだったら、きっと、手に入れなければ収まらなかっただろう。僕も「大人になったものだ!?」 笑
● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト
1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。
文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト) イラスト/溝呂木 陽