ファーストリテイリングが進める必要な商品だけを作り・販売するビジネスモデルへの転換とは?「LifeWear=新しい産業」の進捗
ファーストリテイリングは顧客と事業成長とサステナビリティが連動した新たなビジネスモデル「LifeWear = 新しい産業」の実現に向けた取り組みを進めている。顧客の声を収集・分析し、ニーズやライフスタイルの変化に応じて必要とされる商品だけを製造、必要なタイミングで販売することで無駄を排除したビジネスを実現するというもので、このほどその進捗を明らかにした。
■ 顧客の声を起点とした商品開発・商品構成 2024年8月期には全世界で顧客の声(VOC)を3140万件収集。カスタマーセンターに寄せられた意見、オンラインストアの商品レビュー、店舗スタッフを通じた声を分析し、商品開発や改良に活用した。経営に関するさまざまなデータを一元的に確認できる全社プラットフォーム「経営コックピット」(2023年に導入)を通じて、VOCをグローバルでリアルタイムに可視化し、迅速に商売へ反映することを可能にしたという。 VOCデータを生かし、独自の新素材「スフレヤーンニット」を開発したほか、ブラトップの改良、ウォッシャブルニットリブパンツ、パフテックなど顧客のライフスタイルの変化を捉えた商品を開発。こうした商品開発を進め、2024年8月期の春夏・秋冬商品のレビュー点数は、5点満点中で平均4.5点以上と高い水準となった。
グローバルで事業の柱として販売する商品の品番数は、2024年8月期で50品番以上と、有明プロジェクトを開始した2017年8月期から3倍以上に拡大。不要な品番数を減らして、顧客ニーズの高い商品を中心とした商売が実現できつつあるという。夏の長期化や暖冬により変化するニーズに対応し、年間定番商品を拡充。従来の春夏・秋冬というシーズンでの分け方から、ニーズが高い商品を年間通して提供する商品構成を強化した。
■ 生産・物流体制の構築 独自のアルゴリズムを活用した需要予測で販売計画の精度を向上。生産計画とも連動させ、週次の生産調整を可能にしたという。工場との間で生産計画や生産進捗を共有し、効率的な素材の備蓄、生産キャパシティを確保し生産リードタイムを短縮した。 物流では輸送パートナーと協業し、出荷・着荷作業時間を短縮、オペレーション効率化で輸送リードタイムの短縮につなげた。また、倉庫自動化の推進で必要な商品を必要なだけ店舗に配送するオペレーションを実現、店舗在庫の最適化と業務の効率化につなげたという。 ■ サステナブル主要目標の進捗