ラジオの前の「あなた」に語りかける原田年晴さん スポーツ中継失敗や浜村淳さんの壁越え 一聞百見
■自ら企画、セールスも
スポンサーあっての番組だ。番組を続けるためにセールスもいとわない。
「ラジオ大阪にだけCMを出していないホテルがありました。そのホテルの社長さんが映画のオーディションで審査員を務めると聞き、知り合いに頼んで自分も審査員に、しかも社長さんの隣の席に座らせてもらいました。その後も社長さんが出る会食に足しげく通い、満を持して売り込んだら、その場でOKがもらえたんです」
他にも今、ラジオ大阪で流れるCMのスポンサー名を次々に挙げた。
「(2~3時間の)ワイド番組をやる以上、自分でお金をとってくるのは基本です。映画のプロデューサーは金をとってくるのが仕事でしょ。同じです。スポンサーを見つけてくるのは自分の仕事と思ってます」
インターネットの普及で新聞やテレビ、ラジオへの広告が激減し、メディア各社の経営が揺らいでいる。
「65歳を迎え、自分の仕事が終わりに近づくにつれ『この会社だけはつぶさんといてくれ』と願います。ここにいた40年の人生が全て無くなってしまう気がするから。少子化で自分の通っていた小学校がなくなると寂しいでしょ。同じような感じです」
鉄道ファンで旅が大好き。地方を旅して紹介する「原田旅行公社です」という番組を自ら企画し、国内旅行業務取扱管理者の資格も取得したくらいだ。
「コロナ禍で暇にしていたら、自宅の近所に古民家風の飲食店を見つけました。メニューに『じゃじゃ麺』とある。岩手県盛岡市の郷土料理で、うどんみたいな麺に肉みそなどを混ぜて食べる。40代くらいの夫婦が2年前、大阪に来て『岩手と大阪の橋渡しをしたい』と始めたという。しばらくして番組で取り上げたら翌日、完売したんです」
これをきっかけに番組内で岩手県を特集した。
「旅番組はテレビで見るものだと思っている人がいるんです。でもラジオは想像させて、行った気分、行きたい気分にさせる。旅の向こうにその土地の人々の生活が見えてきます」