元日本代表がなぜ鵜飼観覧船の船頭に? 決め手は“地域愛”「大好きになって家も建てた」【インタビュー】
「口だけでやらないのはダメ」
柏木氏は引退後に鵜飼観覧船の船頭を始め、クラブアンバサダーの仕事も務めながらで激務のなか「本気度が重要だと感じた」と言及し、「本気でやると周りも応援してくれるし、口だけでやらないのはダメかな。俺も堂々とスラスラ言葉にして話せるし、本当に行動するのが大事。そこに向き合う、フォーカスしている自信もあるので、全力で鵜飼に向き合えている」と本気度が伝わる面持ちで語った。 「岐阜に家も建てているので、地方に根付く、岐阜を盛り上げるという意味で、今後も岐阜からアスリートなり、芸能人なり、スーパースターが生まれるようなきっかけを作りたい。さまざまなスポーツの一流選手に触れ、この体験があったから変わったと思ってもらえるようなことをやっていきたいと思う」と今後についても触れた。 行動へ移し、実際に今年20回ほど船頭を務めて観光客や地元を盛り上げて、クラブのアンバサダーの仕事としても順調にキャリアを築いているが、「やっぱり大変なことはたくさんある」と明かす。 「プロサッカー選手は自分たちであまり準備せず、コーチやマネージャーとかがやってくれる。船頭は1から自分で船を掃除したり準備をする。洗って、拭いて、シーツ引いて、座布団用意してとか、専門用語を覚えるのとか、ロープを取る身体の向きとか覚えるのが大変だった。1年で覚えられたのは半分ぐらいで、先輩たちに教えてもらいながらしかできなったただ、たくさんの笑顔が見れて良かった」と、たくさんの苦労がありつつもやりがいを感じていると話す。 クラブアンバサダーと鵜飼と二足の草鞋を履く柏木氏に将来について聞くと、「言葉で伝えるのは難しい」と少し考えた。そして「岐阜の子供が世界に羽ばたいていってほしい。サッカーに限らず、いろんなスポーツの選手に協力してもらい、無料体験を実施して、違うスポーツにも触れてみてほしい。実際にやってみて、今後はこれやってみようとか、実際にプロの道へ行けたとか、いろんな選択肢を増やしていける環境を作っていきたい。岐阜から世界へ羽ばたく人が1人でも増えてくれればいいなと。何より岐阜がJ1に昇格してくれればいいですかね。ただまだ時間がかかるし、チームが強くなるのは簡単ではない。個の部分を伸ばすのは子供からでもできるので、こういうことを含めてやれることを増やしていきたいと思います」と語り、柏木氏は自身とFC岐阜、そして岐阜県の未来までをも見据えている。 [プロフィール] 柏木陽介(かしわぎ・ようすけ)/1987年12月15日生まれ、兵庫県出身。サンフレッチェ広島ユース―広島―浦和レッズ―FC岐阜。恩師のペトロヴィッチ監督に見出され、代表まで駆け上がった。現在は古巣の岐阜でクラブアンバサーを務める傍ら、地域貢献を目指し鵜飼観覧船の船頭も務める。J1通算392試合56得点、J2通算31試合4得点、J3通算61試合1得点。日本代表通算11試合に出場。
FOOTBALL ZONE編集部・小西優介 / Yusuke Konishi