「他人を変えようなんて傲慢」義両親と暮らすナイツ・塙が考える“他者との付き合い方”
今年6月漫才協会の会長に就任したナイツの塙宣之さんは、現在都内の一軒家に妻と3人の子ども、そして妻の両親と二世帯住宅で暮らしている。「夜中2時に起きて夕方の5時に寝る」「部屋や浴室に雑草入りの植木鉢を置く」など、生活習慣が大きく異なる義父と日々接しているが、塙さんは特にストレスを感じていないそうだ。“自分と考え方が違う人”や“歳が離れた人”との上手な付き合い方について話を聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
二世帯住宅で義両親と同居するのがストレスにならない理由
――義両親と二世帯生活を始めたきっかけは? 塙宣之: 新しい家を建てることになったので「せっかくなら一緒に住みましょうか」という感じでしたね。僕があまり家にいないから、奥さんが自分の両親と一緒に住むことはいいことかなと思って。僕の両親とは一緒に住もうという話には特にならなかったですね。別に嫁姑の関係が悪いわけではないんですが、僕が家にいない間に僕の母と奥さんが一緒なのは嫌だと思いますし、僕自身も両親と一緒だと割とケンカしたりするので(笑)。僕的にも義理の両親との同居の方が気が楽でしたし、奥さんが一番生活しやすいスタイルがいいと思ったんです。 だけど、最初に同居の話を持ちかけたとき、義父の静夫さんは「いままで住んでいた集合住宅の方がいい」と嫌がったんですよ。どうしようかと思っていたんですが、いろいろな人に「家を建て始めたら、やっぱり住みたいと言い始めるよ」とアドバイスをもらったんです。実際に家を建て始めて、建設中の家を静夫さんに見せたら「ここが僕の部屋になるのか」と一緒に住みたいような気持ちに変化したみたいで。我々の住んでいる家に引っ越してきてもらうのは厳しかったかもしれないけれど、ゼロから二世帯住宅の建設を計画して「ここはお義父さんの部屋として作ってるんですよ」って言ったから、一緒に住みたいと思ってくれたのかもしれませんね。 ――義父の静夫さんは、個性的な方だとうかがっています。 塙宣之: もう訳がわかんないですよ(笑)。夜中2時ぐらいに起きて、夕方の5時ぐらいに寝たりするんです。ご飯の時間もバラバラで、自分の万年床でラーメンとか作って食べてます。最初はびっくりしたんですけど、あまりにも自分と違うからだんだん気にならなくなってきました。自分と似てないから、ストレスにならないのかもしれない。もしかしたら生活サイクルが似ていて、自分とセンスが合う人の方が嫌だったかもしれないですね。 さらにびっくりしたのは、そこに置かないでほしいなってところに植木鉢を置いて、外から取ってきた雑草を植えたりすることです。もし旅行で三日家を空けようものなら、風呂場なんてジャングルになってますよ。誰にも遠慮せず、最強のカスタマイズをできるから、本人は楽しいんでしょうけど。 この行動について、僕の中に仮説があったんです。静夫さんはもともと奄美大島出身で、大自然の中で育ったから、故郷の原風景に近づけようとしているのかもしないという説です。真実を確かめようと思って、実は今年3月に、静夫さんの実家に行ってきたんですよ。静夫さんのお兄さんが住んでるんでね。そしたらそこの家だけ、めちゃくちゃ草、植木鉢に入ってました。もっとちゃんと、生けてるっぽい感じでしたけどね。「そうか、この家で育ったから、この家みたいにしようとしてるのか」と、なんとなくわかりました。 人って、経緯もわからないまま、見えてるもので全部判断しようとするじゃないですか。でも僕は、静夫さんの表面だけ見て「何やってるんですか」って言いたくないなって。対話するとか、理解するとか、ちゃんとしなきゃなと思ってます。