【40代・50代「更年期治療」をアップデート!】更年期の治療、よりよく受けるためのポイントは「患者力」。医師とのコミュニケーション、どうしたらいい?
更年期外来に、学会に、講演にと忙しく飛び回る産婦人科医の吉形玲美さん。いつも涼やかなポーカーフェイスに見えるが、更年期医療に対する思いは熱く、お話の中にはいつも本音が満載。今回は、患者と医師のいい関係について、最新の事情を踏まえたお話を伺った。
医師も患者も同じ人間同士。お互いさまと思っておつき合いしたい
「こんにちは。産婦人科専門医の吉形玲美です! 前回も少し触れたように、更年期外来は全国的にはまだ数が少ないので、多少遠くてもいい先生に巡り会ってほしいなといつも思います。 遠隔診療、オンライン診療が実現できたらいいんですけどね。オンタイムだと物理的に1対1の対面診療と同じなので、最初にチャット機能があったり、アドバイザーが間に入ったりする仕組みができるといいですね。 私が副理事長を務めるNPO法人 更年期と加齢のヘルスケアでは『メノポーズカウンセラー』の認定制度があります。更年期にかかわる正しい知識を持ち、患者さんに近い立ち位置で相談に応じてくれる人たちです。 例えば、まず患者さんがメノポーズカウンセラーと直接やりとりし、そこから医師とのオンライン診療につなげてもらえたら、すごくスムーズ。そんな仕組みができ始めれば、すぐに広まりそうですね」(吉形先生)
そして、よく聞かれるのが、「相性のいい先生にどうやってたどり着くか?」ということだと吉形先生。 「やはり医療機関のホームページをしっかりチェックするのが基本です。口コミを参考にするのもいいですが、友人知人の紹介が一番でしょう。 私自身、問診票の『ここをどこで知ったか』の項目に、『知人の紹介』と書いてあるとちょっと気が引き締まりますね。『誰かがうちをすすめてくれたんだから、粗相があってはいけないな』と思ってしまいます。 常識の範囲内でよいコミュニケーションがとれるよう『お互いさま』と思っているし、患者さんにもそう思ってほしいですね」
この先生は嫌だと思ったとき、どうすれば?
では、せっかく受診したのに、その先生と馬が合わなかったときは? 「それはね、さっさと変えたほうがお互いのためだと思います。 HRT(ホルモン補充療法)をはじめ、更年期医療に詳しくない婦人科の先生もいます。ホルモン治療に偏見がある先生も。例えばですが、『ピルは避妊薬』とか『ピルは遊んでいる女子が飲むもの』なんて、いまだに言ってしまう医師もいるかもしれません。 相性が悪いと感じたとき、『あぁ、この先生無理~』と思ったとき、何が無理だったのかを考えてみましょう。話をちゃんと聞いてくれなかったからなのか? 自分の思っている治療法をすすめてくれなかったからなのか? 杓子定規な対応だったからなのか? 例えば、HRTをしたいと思っているのに、どうもホルモン治療をしないほうしないほうにもっていく先生もいると思います。更年期医療に力を入れていない医療機関なんかだと、ありがちです。HRTは時間だけかかって薬代も安く、保険診療では全然お金にならないので、そういう方針のところも確かにあるでしょう。 1回受診したけどもう行きたくなければ、『2回目の予約をしましたが、行けなくなりました』と断っていいと思います。理由は別に言わなくてもいいんです。せっかくやった検査の結果は聞きに行かれないですが、もっと相性のいい先生を探すほうが、更年期症状の改善には建設的。気持ちの切り替えができていい気がします」