ザル法ゆえの不公平さ 「舛添疑惑」にみる政治資金規正法と百条委問題
知事が辞任するたびに選挙は費用の無駄?
「都道府県知事選のあり方を抜本的に変えるべきだ。知事に何らかの事故があることは十分に想定できる」「知事選は米国の大統領選と同じように知事と副知事をセットで選び、知事が任期途中で辞めざるを得なくなったら同様に選挙で選ばれた副知事が残りの任期を務めるような改革が必要だ」――。 舛添氏の辞職で東京都は3代続けて知事が任期半ばで退任することになり、山口県でも知事が病気のため辞表を提出。これらの事態と選挙に要する費用の問題から、河野太郎・内閣府特命担当相は6月14日の定例会見でそう問題提起を行った。 現状では副知事に決裁権限はほとんどなく、事務手続き的な意味での知事のサポート役にとどまっている。河野氏の提案は知事の任期中に何かあった場合に備え、副知事も公選制にして権限を持たせる仕組みづくりで、東京都のように辞職のたびに50億円をかけて知事選をやるよりも合理的という内容だ。 これに対し高市早苗総務相は憲法93条との関係から「慎重な検討が必要」と突き放した。憲法93条では「地方公共団体の長などは、その地方公共団体の住民が直接これを選挙する」と規定されている。 河野氏が投げかけた都道府県知事選に絡む改革案を、関谷教授はどう受け止めたのか。 「 発言の意図がどのようなものか、よくは分かりませんが、都道府県の長を選ぶといった場合の長と言うのは、責任の所在と言うことになります。それが知事と副知事の両方にあるということになると、問題点としては責任の所在があいまいなことになってしまうということが考えられます」 そう述べたうえで、改革案に一定の理解も示す。「河野さんの狙いが現状では判断しづらい部分もありますが、『都政という海外では一国規模の予算を超えるような行政の権限を一か所に集中させていいのか』という問題提起が含まれていると思います。強い権限を行政機関の長が単独で 負うのは重すぎるというのと、重すぎるがゆえに何かのときの対応が難しくなってしまうというのと。今回のような事態になっても、誰も代わりの役割を果たす立場にはなく、何のフォローもできませんから」 一方、米国とは異なり、知事と副知事をセットで選ぶという案については「日本にはそうした発想がそもそもない中での発言ですから、マスコミも扱いかねているのが正直なところかもしれませんね。憲法との兼ね合いや法改正の問題も出てきますから 、行政機関のあり方やその抑制の問題として議論する必要があるのでは」と距離を置く。 知事が途中で辞めるたびに選挙に巨額の税金を費やすのは無駄ではないか、という声に対しては「選挙費用については問題ありとせざるを得ませんが、重要なのは有権者が考え、判断する機会は決して奪われてはならないということです。それがデモクラシーなんだと。デモクラシーに関しては費用がかかっても必要なことなんだと割り切るという考え方もありますから 」と話した。