ザル法ゆえの不公平さ 「舛添疑惑」にみる政治資金規正法と百条委問題
「追及される人」と「追及されない人」が出る
「政治資金規正法は『ザル法』であるがゆえに、世論の流れによって追及される者とされない者という不公平さが生まれてしまう」――。
5月半ば以降のヒートアップの度を増す舛添報道を見つめながら、一方で関谷教授の中ではそうした思いも募っていったという。 「政治資金の問題はもっとほじくり返していけば、舛添氏のほかにも引っかかる政治家はいっぱいいるかもしれません。同じようなことをしてもメディアや議会などによって追い込まれる人とそうではない人がいるとすれば、それは何より公正さに反します」とした上で、次のように持論について説明する。 「本来、不正を許さないことを目的に作られた法は、公正さに基づいて平等に適用されることではじめて意味を持ちます。ところが政治資金規正法のような甘い法律だと、 そもそも不正を罰するということ自体がぼやかされていますし、結果的には偶然に近いようなきっかけで世論の雰囲気によって追及される人、追及されない人が生まれてしまう。一般的に『ザル法だから抜け穴はいっぱいある』と言われますが、それだけではなくて、その中で不公平、不平等が生まれるというのは、とても危ういことだと思うんです 」 加えて「その人の属性(キャラクター)などによって、視聴率が取れるとか、雑誌が売れるとか、メディア的にはそういう形で標的を定めてどんどん取り上げて追及を強め、政治力学的には後ろ盾の強弱によっても追い込まれ方が変わってくる。同じ状況にあっても不公平さが出てくるというのは、現行法の下では解決しがたいところがあるので改めて法律自体を見直し、その厳格な運用が強く求められているように思います」と主張した。 関谷教授はまた、全体としてメディアも議会も舛添氏のみを悪人に仕立て上げ、辞職に追い込めばそれで良しとしてしまう、という社会的なムードにも異を唱える。 「勧善懲悪的な雰囲気は分からなくはないですが、もっと大事なことは、どうすれば都政に健全さを取り戻せるか、政治不正が繰り返されないためには何が必要かを議論することのはずです。 なのに、そうした議論が膨らまない状況を見ていると健全性に欠けていると言わざるを得ない」と指摘した。