なぜ「ダイソー釣り具」に私たちは魅了されるのか 「100均ビジネスの救世主」になりうる商品の顔ぶれ
しかし、釣り具が100均を救うヒントになる理由は、安くて種類が豊富だからではない。釣りで必ず必要になるものといえば、「仕掛け」だ。ダイソーにも、小魚を釣るサビキ仕掛けや、浮き釣り用の仕掛けなど、いろいろな種類が売っている。一袋に仕掛けが2~3セット入っていて、それが100円で買える。ここか肝心だ。 100均グッズと言われると、プラスチックケースやキッチン用品などが思い浮かぶ。これらは封を開けても、一日で処分するなんてことはしないだろう。しかし、魚釣りの仕掛けは違う。一度竿にセットして使用した仕掛けを使うのは、その日限りだ。別日に同じものを繰り返し使うことはほとんどない。特にサビキ仕掛けは切れたり、絡んだりしやすく、ちょくちょく付け替えるため数も必要になる。仕掛けとは使い切り品なのだ。
釣り人は安い仕掛けを多めに買っておき、釣り場でどんどん消費する。次の釣りのために、また買って使い切る。これぞ、100均の真骨頂、ザ・薄利多売の商売ではないか。惜しみなく使ってもらえるように売値は100円に抑え、回転率のほうを上げる。一回使ったらはい終わり、また買いに行く必要がある商品をどんどん増やしていくことが、100円ショップの売り上げを助けると見たが、どうだろう。 なお、ダイソーでは釣りエサまで売り始めた。袋に入ったイカやアサリの生エサタイプで、魚を寄せる集魚剤も配合してある。むろん、封を切ったら使い切るしかない。エサの量は少なめなので、2袋3袋とまとめて買っていく人もいるだろう。なにせ針とエサがなければ、そもそも釣りにならないのだから。
■買っても買っても終わりがない「紙モノ」沼 使い切りとは別の視点で、もう一つ注目したい商品カテゴリーがある。「紙モノ」だ。100円ショップの文具コーナーを覗くと、色とりどりのシールやマスキングテープ(通称マステ)、ふせんや折り紙がぎっしり並んでいる。 折り紙といっても、ただの単色ではない。透ける素材だったり、クラフト紙タイプだったり、英字柄や小花柄だったりと百花繚乱だ。「いったい何に使うんだろう」と思うような、アンティークな英字新聞や楽譜、植物図鑑のページを印刷したペーパーなどもある。中でもセリアでの充実ぶりはなかなかだ。この紙モノは何に使うのだろう。