2025年の東アジア情勢はどうなる?中国・台湾首脳のメッセージから占う
「今日(こんにち)、新しい状況が生まれ、外部からの不確かな課題、新旧の圧力に直面しています。しかし、これらは努力によって克服できます。私たちは風、雨といった洗礼を受けながら成長し、試練と苦難の中で強くなってきたのです。自信を持って歩んでいきましょう」 習近平主席が国民向けに行なってきた、過去の演説に比べると、表現がかなり情緒的な印象だ。「外部からの不確かな課題、新旧の圧力に直面」、つまり景気の減速局面にあった2024年、政府はさまざまな景気刺激策を講じてきた。2025年もまさに「試練と苦難」が続く。国民にさらなる「努力と覚悟」を求めた形だ。習主席の新年の辞は厳しい現状を示す内容に思える。 気になる台湾問題についての言及だが、習主席は台湾住民に向けてこう呼びかけている。 「台湾海峡両岸の同胞は一つの家族であり、誰も私たちの血と絆を断ち切ることは、できません。誰も祖国統一という歴史の流れを止めることは、できません」 「中国と台湾に住む我々は同じ家族であり、身体には同じ血が流れる」。先ほど紹介したように、経済の低迷など中国国内の閉塞感から、国民のはけ口を外へ…。つまり、中国のいう「同じ家族」である台湾に、さらに強硬な手段を講じるかもしれない。 そういう中で、戒厳令を発令した韓国の尹錫悦大統領への捜査は、足踏み状態にある。内乱容疑での逮捕状執行ができないままだ。大統領の職務は、副首相が代行している。 韓国では混乱が続き、トップが国民にメッセージを発するという雰囲気にもない。韓国の混乱、今月20日のトランプ米大統領就任式に前後して、北朝鮮が挑発行為に出る可能性もある。石破総理は、このような近隣情勢を目の当たりにして、今年、どのように舵を取っていくのか。まずは、1月6日の年頭会見に注目したい。 ■◎飯田和郎(いいだ・かずお) 1960年生まれ。毎日新聞社で記者生活をスタートし佐賀、福岡両県での勤務を経て外信部へ。北京に計2回7年間、台北に3年間、特派員として駐在した。RKB毎日放送移籍後は報道局長、解説委員長などを歴任した。
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