2025年の東アジア情勢はどうなる?中国・台湾首脳のメッセージから占う
さらに、新しい1年の始まりに際して、こう決意を述べた。 「台湾海峡の平和と安定は、世界の安全保障と繁栄にとって不可欠な要素です。台湾は、平時の危険に備え、国防予算を増額し、国防力を強化します。国家を守る決意を示さなければなりません」 全体として、中国=習近平政権を刺激する文言はない。穏健な内容だ。防衛予算の増額は明言したが一方、「台湾の住民の団結がなにより大切。中国に比べて優位性のあるもの、それが民主主義。動揺しないように」というメッセージだろう。 台湾社会には多様な価値観が存在し、政治的立場もさまざまだ。台湾の内部での対立が、中国による台湾統一工作のスキをもたらす。そういう中、昨年のプレミア12での優勝は、まさに「チーム台湾の勝利」。野球にとどまらず、選手も市民も、ワンチームとなった「チーム台湾」を、中国と対峙する上でも、大きな材料にしたいわけだ。 ■国民にさらなる「努力と覚悟」を求めた習近平主席 一方、中国の習近平主席は新年の挨拶。こちらは大晦日の夜、国営テレビを通じて、2025年の年頭所感を発表した。終始、穏やかな表情で語っていたが、特徴的なのがこの文言だ。 「2024年。私たちは春・夏・秋・冬を共に歩いてきました。風も、また雨にも遭い、虹も見てきました。その特別な1年の、その一瞬一瞬に感じたそれぞれを、忘れることはできません」 「夢は遠くとも、追いかけるものです。 難しくとも、叶えることができます。中国式近代化に向けた旅路は、誰もが主人公であり、それぞれの貢献が大切。そして、それらすべてが輝くのです」 キーワードは「夢」。習近平主席は就任時から「中国の夢」という言葉を好んで使っている。それは自身の力によって、米国に並ぶ、さらに米国を追い越して、世界の真のリーダーになるという「中華民族の偉大な復興」という夢だ。 その夢を叶えるためにも、まずは目の前の課題を克服しなくてはならない。それが経済。経済運営を巡り、国民にこのように訴えた。