坪井翔がまたもオーバーテイク“ショウ”! 5位に食い込みタイトル争い踏みとどまる。富士・鈴鹿での終盤2ラウンドは「すごくポジティブ」
DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの2台による優勝争いが最終盤まで白熱したスーパーフォーミュラ第5戦もてぎ。その裏で怒涛のオーバーテイクショーを見せて5位入賞を果たしたのが坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)だ。 【動画】2024年スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ:決勝ハイライト 坪井は第4戦富士で優勝してタイトル候補に躍り出ると、今回は予選でつまずき8番手。しかし怒涛の追い上げで勝利した富士戦同様、レースに強いマシンに仕上がったようで、決勝日のフリー走行では高い水準で安定したラップタイムを刻んでいた。坪井本人も「前回の富士よりも良い感触があり、表彰台争いも十分できる」と感じていたという。 迎えた決勝レースのスタートでは若干出遅れて10番手に。しかも1コーナーの攻防で坪井の右リヤに岩佐歩夢(TEAM MUGEN)のフロントが接触したことで、あわやという場面もあった。 坪井はこう振り返る。 「(接触で)アライメント系が狂ってしまった感じがあるので、あそこで権利がなくなったのかなと思っています」 「ぶつけられた瞬間、足が曲がったかなと思いましたし、(接触で体勢を崩したことで)左フロントも他車と接触しそうな感じでした」 その後はピットインのタイミングを遅らせる判断をして、ペースの良さを活かそうとしていたが、実際は多くのマシンが坪井同様にピットタイミングを引っ張ったため、ややライバルに引っかかるような格好となった。そのため戦術面では後手に回ってしまったと坪井は語る。 「ペースは良さそうでしたが、(前のマシンに接近したことで)ダウンフォースが抜けるところで長く走ってしまいました。僕としても抜くなら抜く、抜かないなら距離を空けるなど考えてレースすべきだったと思うし、戦略も後手後手になってしまいました」 「変に相手に付き合ってしまったり、全てが中途半端な流れの悪いレースだったので、ポイントも獲れないんじゃないかというファーストスティントでしたね」 結局37周レースの23周目にピットインした坪井。コースに復帰した時はポイント圏外の11番手まで落ちていたが、そこからはフレッシュタイヤでオーバーテイクショーを見せた。残り10周ごろから、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、小高一斗(KONDO RACING)、そして大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)を次々パス。そして太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)の戦線離脱により5位でのチェッカーとなった。 「この一番辛いレースで首の皮一枚繋がった、そんな5位だったと思います。(ポイントリーダーとの)点差は離れましたが、鬼門としていたレースで5位だったという意味では、とりあえず満足しています」 ポイントリーダーの野尻智紀(TEAM MUGEN)とは15点、ランキング2番手の牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)とは10点の差が開いているが、現在ランキング3番手につける坪井も、王座を射程圏としている。残るレースは富士で2戦、鈴鹿で2戦の合計4戦となっているが、特に富士との相性の良さを鑑みても、非常にポジティブな状況だと坪井は言う。 「すごくポジティブです。正直ここが一番辛いと思っていたので、ポイントが離れたとはいえ(被害は)最小限で済んだかなと思います」 「また気候も変わるので、前回の富士で勝ったから次も速いとは限らないと思いますが、富士は個人的にも相性の良いサーキットですし、(マシンのレベルも)変なところにはいないはずなので、地に足つければトップ争いできるという自信があります。次勝って、ポイントリーダーとして臨めるのがベストですね」 「次からの4レースは、常に野尻選手と牧野選手の前でゴールするレースをしないとチャンピオンはないと思うので、そこを目標にしていきたいです。そのためには必然的にトップを獲らないといけないですが……追う立場なので、がむしゃらに追いかけたいです」 また坪井の富士での好調ぶりは、ランキング2番手の牧野も大いに警戒している。記者会見でタイトル争いの展望について尋ねられた牧野はこう語っていた。 「ランキングどうこうを考えると、前戦の坪井選手の勝ち方を見ると、富士戦が2回あるというのは正直めちゃくちゃ嫌だなと思います」 「野尻さんとの5ポイント差よりも、2発行かれる(坪井に2戦続けて大量得点される)可能性が結構あると思っています」
戎井健一郎
【関連記事】
- ■「さすがに気持ちが落ちます」残り2周で悲劇の主人公に。トラブルで優勝逃した太田格之進の“完璧だった”レース運び
- ■ニック・デ・フリーズのSF初陣は13位。戦略ギャンブルは失敗も希望の持てるレースに「8位~10位を争えるペースだった」
- ■優勝目前の不運……トラブルでスピンの太田格之進にダンディライアン村岡代表「特別な言葉をかけたりはしない。次に向けしっかりクルマを整備するだけ」
- ■岩佐歩夢、挽回のレースで7位入賞。王座獲得に向けての残り4戦「全部勝つことができるように」|スーパーフォーミュラ第5戦
- ■マッチが還暦祝いでフォーミュラ“復帰”! JRP近藤真彦会長、スーパーフォーミュラ車両でのデモランがサプライズ発表