路線バスの急ブレーキで利用者が転倒! 「移動しないで」と言ったのに、ドライバーに責任を押し付けるのは妥当なのか?
事例の紹介
2015年、小田原駅のバスロータリーで悲惨な死亡事故が発生した。高齢の女性が横断禁止の場所を渡り、停留所を出発したばかりの路線バスにひかれてしまった。 このバスロータリーは、駅から停留所に向かうために地下街やペデストリアンデッキを利用しなければならない設計となっている。そのため、急いでいる人が横断するケースが多くなり、問題視されている。こうした状況では、急ブレーキが間に合わないこともあるが、それでも横断禁止の場所を渡った人が悪いと理解していても、ドライバーが警察に逮捕されることがある。 また、2024年9月には北海道函館市で路線バスと乗用車が正面衝突する事故が起きた。この事故では、乗用車を運転していた22歳の女性から基準値の5倍のアルコールが検出された。彼女の車が反対車線にはみ出し、路線バスと衝突したとされている。 アルコールを摂取して運転することは明らかに危険であり、問題がある。このように、路線バスはさまざまな要因で不必要に影響を受ける事故が多く発生している。
事故防止のための取り組み
バス業界では、最新の安全技術の導入が進められている。例えば、 ・自動ブレーキシステム ・運転支援システム がその一部だ。いすゞ自動車では、ミリ波レーダーと画像センサーを組み合わせた衝突被害軽減ブレーキシステムを開発しており、これにより停止車両や歩行者を検知できるようになっている。 また、クラリオンの「SurroundEye」という路線バス向け安全運転支援システムでは、停車や発車時に車両周辺の安全を一目で確認でき、中扉付近の乗客の状況も把握できる。このような技術は、バスの安全運行に貢献している。 さらに、最近ではバス事業者が独自に安全運転訓練車を導入し、ドライバーのトレーニングを行う事例も増えている。これにより、事故防止に向けたドライバー支援が強化されている。 しかし、経営が厳しい事業者がこれらの新技術を導入できるようにするためには、政府や地方自治体からの支援が必要である。安全なバス運行を実現するために、技術の導入と支援策が不可欠だ。