スーパーハイト系市場を開拓したダイハツ・タント 「しあわせ家族空間」に込められたクルマづくりの良心
軽乗用車、軽商用車を多く開発するダイハツ。複数のモデルの中でもダントツの販売台数を誇るモデルが「タント」です。 【写真】2003年に登場した初代タント 2003年の登場以来「スーパーハイト系(後述)」という市場を切り開き、2024年3月までの累計販売台数は280万台超(ダイハツ調べ)。多くの人たちに愛される「小さな名車」です。 どんなところが素晴らしく、ここまでのヒットに至っているのかは、乗らない人にはなかなか想像できないのも正直なところ。ここではダイハツ担当者の解説と合わせてその秘密に迫ります。
車高が高く室内が広い軽「スーパーハイト系」の草分け
今から21年前の2003年に登場した初代タントのコンセプトは「しあわせ家族空間」。家族全員で毎日楽しめるクルマとして開発されました。ダイハツ担当者はこう話します。 「2003年当時、経済性の良さ、扱いやすさなどから軽乗用車が注目を集めていました。また、多様なライフスタイルや用途に対応できるクルマが求められていたこともあり、『タント』は従来の軽乗用車よりも車高を高くし、室内空間を長くとる独自のパッケージングを行いました。後にこれが『スーパーハイト系』という軽乗用車の新しいジャンルを切り開くきっかけにもなり、多くのお客さまからご支持をいただきました」(担当者) 名の由来は、筆者は日本語の「たんと(いっぱい)召し上がれ」で、「タント乗れる・詰める」かと思っていました。しかし、実は正式にはイタリア語から取ったのだと言います。 「『タント』は、はイタリア語で『とても広い』『たくさんの』という意味を持つ言葉『Tanto』が由来です。日々の暮らしの中で『乗る人』『使い人』みんなに『たくさんの』しあわせをもたらすクルマでありたいという願いを込めました」(担当者)
柱をドアに組み込んだ「ミラクルオープンドア」
ダイハツがタントを通して乗り手に込めた思いは、随所に反映されました。 初代は、圧倒的な室内空間の広さが大いに受け、2007年のフルモデルチェンジでは、さらに革命的とも言える「ミラクルオープンドア」を採用。 これはクルマを横から見た際の中央にある柱をドアに一体化させたもの。助手席側の前部座席のピラーインドア、後部座席の片側スライドドアによって、スムーズに乗り降りができる大開口を実現しました。 「2013年の3代目では両側に『パワースライドドア』を採用し、より乗り降りがしやすくなりました。また、2019年以降の最新モデルでは運転席・助手席の『ロングスライドシート』を採用。シートを大きく前後させることができ、例えば運転席から後部座席への移動や、室内での運転席・助手席への移動もスムーズにできるようになりました」(担当者)