中国進出の日本企業、ピークから1千社・1割減 2024年は約1.3万社 中国事業の再編・撤退目立つ
中国事業の統合・整理、生産拠点で加速 サービス・販売は進出続く見通し
欧米諸国を中心に中国とのデカップリング戦略への方針転換が鮮明となるなか、中国に進出する日本企業では中国ビジネスに対する警戒感が広がっている。帝国データバンクが2023年に実施した調査では、「海外進出や取引に対する課題」に対し、中国に進出する日本企業で回答のあった約600社のうち半数が「進出先の政治・経済情勢に関する情報収集」を挙げた。人材の確保や、言語などカルチャー面での不安が上位だった回答全体と比べると、中国進出企業では政治的・経済的なカントリーリスクの高まりに対する不満や不信感が広がっている様子もみられた。中国の人件費増によるコスト面での優位性低下に加え、反スパイ法の改正による中国国内での企業活動内容の制約、不動産市況の悪化やインフレによる経済成長の鈍化、米中対立による経済安保上の問題など複数の「チャイナリスク」が、日本企業の経営課題として漫然と漂っており、拠点閉鎖などで中国ビジネスの相対的な「魅力度低下」が表面化しつつある。 足元では、生産拠点を中心に再編や統合、売却を行い、日本国内へ回帰するケースや、ベトナムやカンボジアなど東南アジアへ経営資源を移転・集中させる動きもある。中国市場を「輸出基地」として捉え、進出を続けてきた製造業などでは、長期的に企業数の減少傾向が続く可能性がある。一方、少子高齢化が進む中国に対し介護サービス産業の輸出や、人気の高まる日本食レストランの出店など、中国国内の新たなビジネスチャンスに焦点を当てた進出事例もあり、小売業やサービス業などB to C産業では進出企業数が増加傾向で推移するとみられる。