大学の入試・広報担当者の本音座談会【前編】 「子どもの自己推薦書を添削して」と親から相談
大学入試に関して、各大学には保護者からさまざまな問い合わせが寄せられます。大学入試が保護者の時代とは大きく変化し、なじみのない総合型選抜や学校推薦型選抜といった「年内入試」が増えていることも背景にあるようです。毎年多くの受験生や保護者と接している入試・広報担当者3人は、どう対応しているのでしょうか。親として大切なことも、話してもらいました。(写真=Getty Images) 【写真】昔のイメージとは大違い? 女子高生に人気の意外な大学
受験テクニックを聞きたがる
――拡大している年内入試については、保護者からどのような質問があるのでしょうか。 A大学担当者(以下A大学):「総合型選抜に落ちたら一般選抜に影響しますか」という質問は非常に多いですね。それから「オープンキャンパスに何回も参加すると加点されるんですよね」「総合型選抜を受けておくと一般選抜で有利になりますか」といった質問もよくあります。もちろん、加点になるようなことは全くありません。 B大学担当者(以下B大学):それ、わかります(笑)。受験テクニックを聞きたがる保護者は非常に多いです。「X(旧ツイッター)で見たんですけど、指定校推薦で落とすって本当ですか」とか、SNSで見た情報の確認をされることもあります。 C大学担当者(以下C大学):うちの大学は総合型選抜、学校推薦型選抜ともに併願可能なので、「一般選抜も受験する予定ですが、総合型選抜も受けたほうがいいですか」「指定校推薦が取れるかわからないから、総合型選抜にも出願していいですか」といった質問が多いです。年内に確実に進学先を決めたいという気持ちが強いのかもしれませんね。
親のほうが熱心?
――教育熱心すぎるあまり、過保護な保護者が多くなっているのでしょうか。 A大学:「面接では何を聞かれますか」「筆記試験には何が出ますか」「志望理由書は何を書くと通りやすいですか」といった質問も増えましたね。もちろん、すべてお答えすることはできません、ご自身で考えてくださいとお伝えしています。 B大学:相談会に親だけで参加して、「子どもが書いた自己推薦書を添削してください」などということも。 A大学:それ、あります! もちろん「できません」とお答えしていますが。 B大学:相談会には親子で参加しているのに、一生懸命に話すのは親だけ、ということもありますね。生徒本人が話しているのに、横から親が「うちの子はこうなんです、うちの子はこれが得意で……」と話を全部さらってしまう。過剰にコミットする親が増えた印象があります。 A大学:正解を求める方が増えた印象です。試験に通りやすくなる方法を知りたがります。でも、そもそも総合型選抜は、自分がこれまでやってきたことや、大学でやりたいことを深く考えたうえで、自分自身をアピールする試験です。その本質をまず理解してほしいです。マニュアル的な対策をしても試験には通りません。 B大学:総合型選抜の塾が増えているようですが、そこでの指導なのか、過剰な受験対策をする受験生も見られます。入試当日、校門の前で一礼して入ってきて、すれ違ううちの学生に「おはようございます!」と大きな声であいさつし、面接までの待ち時間は微動だにせずピシッと座っているとか。合否はあくまでも試験の内容で判断しますので、それ以外の過剰な対策は必要ないですよと伝えたいです。